研究用コンピューター・ネットワークの相互乗入れによるアドレシングの問題点
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概要
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現在、世界中で種々の研究者間用コンピューター・ネットワークが稼働しており、これらはゲートウェイを介して相互乗り入れしているケースが多い。規模の大きいネットワークとしては、BITNET(本稿ではヨーロッパのEARN、カナダのNET NORTHも含めて総称する)、ARPANET、OSNET、UUCPNETなどがあるが、これらはその例である。これらはそれぞれ独自のプロトコル、およびそのネットワーク内で閉じたアドレシング体系を採用しており、ユーザーが他のネットワークと交信するときは、普通、ゲートウェイの存在を多かれ少なかれ意識しなければならない(その場所、受け入れられるメイルのフォーマット、アドレシングの仕方など)。このような不便さは多くの場合、各ネットワークで使われているMTA(メイル・トランスポート・エージェント)とUA(ユーザー・エージェント)のソフトウェアが吸収し、ユーザーには負担をかけないようになっていることが多いが、宛先のアドレスだけは発信者の責任で、ゲートウェイから先の、ターゲット・ネットワーク内でのアドレス体系に従ったものを調べ、そして指定しなければならない。2つ以上のゲートウェイを越えて行くときには、発信者はアドレス指定の、より多くの作業を強いられる場合があるかもしれない。仮に他のネットワークの宛先に正しくメイルが着いたとしても、今度はその受信者が発信者に正しく返事ができるとは限らない。なぜならゲートウェイは、そこをメイルが通過するとき、どこからのメイルであるというヘッダー内のリターン・アドレスを、ある一定のルールで変更・生成しなから転送して行くが、2つ以上のゲートウェイを通って行く場合、最終的に作られるリターン・アドレスが正しくない場合があるからである。これはゲートウェイどうしが、アドレスの調整までにおいては相互理解できるように設計されてはいないからである。一般にゲートウェイは、単に2つのネットワークの橋渡しをするように作られているので、他のネットワークのことまで関知しない。仮にそこまで考慮されたとしても、メイルは様々なルートを通って来る場合があるので、事情を完全に解決することは簡単ではない。もしアドレシングの仕方が、すべてのネットワーク全体で一様であるならば、ユーザーはどのネットワークに加入しているのかなどを意識する必要はなく、問題の多くは解決されよう。またゲートウェイの設計も簡明なものになるであろう。我々が日常使う手紙のアドレスも世界中で統一されているとは言えないが、コンピューターの場合は全てがシステマティックに扱われるので、この一様性の要求はなおさらである。以下では研究用ネットワーク・コミュニティのこの分野での努力を展望し、今後の方向を考察する。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1986-10-01
著者
-
串田 高幸
日本アイ・ビー・エム株式会社東京基礎研究所
-
日高 一義
日本アイ・ビー・エム株式会社 サイエンス・インスティチュート
-
日高 一義
日本アイ・ビー・エム(株)東京基礎研究所ビジネスサービス・リサーチ
-
秋元 幸生
日本アイ・ビー・エム株式会社 サイエンス・インスティチュート
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