声質を保存した歌声のピッチ補償

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より手軽にプロの歌手のように歌を歌いたいという我々の欲求に答えるかたちでカラオケは誕生した。初期の頃は伴奏と歌詞を流すだけであったが最近では音程の一時的なずれを修正するものも登場してきている。これらは我々の、より原曲に近いイメージ、音域で歌いたいという欲求に対して提案された解決方法の一つといえよう。音程がはずれた部分だけを正しい音程に修正する機能は計算機の高機能化、音声のディジタル化により初めて実現したといえるが、現在商用化されているシステムで大幅な音程のずれを修正するとひどく不自然な音声になってしまう。これはピッチ変更の際、個人の音声の特質まで変化させるためであり、個人の声質情報を保存したままャでピッチのみを変更する必要がある。最近、ピッチ情報と個人特性情報を分離した上でピッチ変更、再合成する方式が声質を保存するピッチ変更手法として提案されている。例えば複素ケプストラム分析合成による方式、時間周波数領域での補間を用いた方式等があげられるが、我々は実時間処理を最優先する意味で、音声の分析合成、符号化等で広く用いられている線形予測分析方式 (LPC) を人の歌声に適用してピッチ補償を試みてきた。ここではその最近の成果について報告する。
1997-03-12

声質を保存した歌声のピッチ補償

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