織物上における色組織のデータベース化と博多カラーイメージ織りの試作
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概要
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色表現の中で、織物による表色は印刷などのインクと同様に減法混色系に属するといえる。しかし、通常のインクによる色表現とは異なる経(たて)糸と緯(よこ)糸の立体的な組織による効果が組み込まれてくる。単純に経糸と緯糸の表面上の面積比によって表面の色が確定するものといえない。博多織、西陣織り、桐生などのいわゆる絹織物の産地における複雑な紋織物はおよそ160年前にフランスのリヨンでジャカールによって発明されたJacquard織機によっている。複雑な模様と色合いは多色の緯糸を用意して、背景に相当する経糸との立体的交差の具合によって表現されてきている。19世紀初頭のフランスのいわゆる絵画織りは、当初、モノクロの濃淡を表現して非常に精密な写真に近い織物として登場している。しかし、カラーの絵画織りについては、油絵の絵の具のように多くの緯糸をあらかじめ準備し、白い経糸の背景に単純な平織り組織によって多色の色表現がなされた。作品によっては、数年を要した織物が見られる。我々は、博多織の伝統工芸士の方々が受け継いでこられた織物上の色表現をコンピュータに蓄積、データベース化し、さらにこれらの色表現の熟練技術をエキスパートシステム化することを目指してきた。その過程においてこれまで蓄積された色組織データベースのチェックおよびその中間評価を実施するために複雑なイメージ(写真やデザインなどの色にこの織り組織をマッピングしてどのような織物が得られるかを試みた。有限色の緯糸だけで中間階調のある最も色表現が困難であるもののひとつといわれる人間の肌の色の表現に挑戦し、博多カラーイメージ織りとして米国大統領ご夫妻のデジタル画像から織物を作成し、贈呈した。これらの作成過程において織物上で表現できない色相がいくつかあることが判明し、この解決のために従来の有色緯糸は白糸と黒糸を含めて7種類であったものを8種類と変更して色相分布を求めた。その結果について報告する。
- 1996-09-04
著者
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