用語上の機能による英文コーパスの検索システムの研究

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英文コーバスなどの全文データベースを利用した英語の研究は、数理言語学的な面をはじめ、言語理論などの言語学的研究から自然言語研究における知識処理に至るまで、多くの分野で行なわれている。全文データベースを利用するには、まず第一に語句による検索が必要であるが、単純な語句検索では多くのノイズを避けられなかった。語の屈折形(変化形)検索や部分一致検索、あるいはシノニム検索など多くの工夫が凝らされてきているが、文字列としての語の検索であるため、限界があった。われわれは、より知的な検索を目指すことにより、検索ノイズを減らし、より効率的な、的確な研究対象の英文を抽出することを図った。一般に、検索語は単なる文字列ではなく、品詞や用法などの文法や構文上の機能、あるいは文脈における意味機能など、さまざまな機能を併せ持っている。語が文中で担っている構文上の機能をわれわれは用語上の機能、あるいは語用機能と名付けた。例えば、thatという語は、指示代名詞、形容詞、従属接続詞、関係代名詞、などとして使われ、あるいは、so that構文を構成する。検索者は、多くの場合、明示的ではないにしてもなんらかの意味で、検索対象の語や句のそういった機能を併せて検索している。例えば、コーパスから動詞のhave,take,giveを含む文を抽出し、それぞれの動詞の助動詞の付く頻度や命令形として存在する頻度の比較をしたり、あるいは動詞の後に名詞がくる文のみを抽出し、それぞれの動詞の特徴を、動詞の後にくる名詞により、分析するなどの試みである。また、英文コーバスを辞書にある例文の集まりとして見ることにより、英作文を書く際に、単語の用いられ方を調べるため、その単語を含む文をコーパスから抽出し、参考にするのである。したがって、検索の結果得られたものでも、例えば考えている語の品詞や用法(語用機能)に合致しないものはノイズであり、検索した後、マニュアルにより必要なものを選別するのが普通である。本報告では、意味機能は別として構文における用法上の語の機能(語用機能)を含めて検索する可能性を検討してきたので、それについて報告する。
社団法人情報処理学会の論文
1993-03-01

用語上の機能による英文コーパスの検索システムの研究

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