日本語文における並列構造の簡便な推定法および推敲支援への適用

概要

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近年,機械翻訳や文章校正支援に代表される自然言語処理技術の発展は着実である.しかし,いまだ困難な問題はいくつも残されている.その中の一つに並列構造の解析がある.並列構造を含む文は,並列要素の認識において曖昧性を含みやすいので,並列構造を誤って認識してしまうことが多く,後の構文解析や意味解析にも解析誤りが生じる.また,並列構造を含む文を文章推敲の立場から考えても,文の書き手と読み手の間に食い違いが生じやすい.本研究は,文章推敲の立場から並列構造を推定し,書き手と読み手の間に食い違いが生じやすい並列構造を指摘することを目的としている.本稿では,名詞句の並列構造(名詞並列と呼ぶ)の推定と,節の述語を除いた一部分(非名詞句と呼ぶ)の並列構造(部分的並列と呼ぶ)の推定について述べる.また,並列構造の推定を推敲支援に適用するために,ユーザに煩わしさを感じさせない待ち時間で処理をしたいという要求がある.そのため,本手法では,大規模な辞書の使用,単語の意味を反映した解析,形態素解析を行なっていない.
一般社団法人情報処理学会の論文
1996-03-06