ラットにおけるニコチン酸とdl-α-トコフェリルニコチネートのニコチン酸分子の代謝の比較
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概要
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ラットを用いてdl-Toc-nicのニコチネート分子の代謝を遊離のNiA代謝と比較した.(1)NiA欠,Trp制限食に0.065%のToc-nicを添加した飼料を投与した幼若ラットの成長を14日間,0.015%のNiAと0.05%のdl-α-Tocを添加した飼料を投与した幼若ラットの成長と比較した結果,両群とも全く同じ成長を示し,Toc-nicがNiAとして利用されていることが見出された.15日目から両群ともNiA欠,Trp制限食に切り変えた結果,あらかじめToc-nic添加食を投与しておいた群の成長の方が,あらかじめNiA添加食を投与しておいた群よりも高くなった.NiAもしくはToc-nic添加食を投与中の尿中へのナイアシンおよびMNAの各排推量は,NiA添加食群の方がToc-nic添加食群よりも高かった.(2)20%カゼイン食に大量のToc-nic(O.5%)を添加した飼料を幼若ラットに投与したが,その成長は20%カゼイン食投与ラットおよび0.11% NiAと0.39%のdl-α-Tocを含む20%カゼイン食投与ラットと同じであった.Toc-nic含有食投与により,肝臓,腎臓および血液中のNAD含量は,20%カゼイン食群よりも高い値を示したが,NiA含有食投与群よりも低い値であった.尿中へのナイアシン,MNA,N^1-メチル-2-ピリドン-5-カルボキサミドおよびニコチヌル酸の各排泄量はToc-nic添加により上昇したが,NiA添加よりもその上昇量は低く,これらの上昇量の比率(Toc-nic添加による上昇/NiA添加による上昇)は,各々1/8.6,1/4.6,1/3.1および1/16.1であった.これらの結果はToc-nicのニコチネート分子の代謝回転速度はNiAよりも遅いものの,Toc-nicの体内保持能力はNiAよりも高いことを示している.
- 日本ビタミン学会の論文
- 1987-01-25
著者
-
岩井 和夫
社団法人ビタミン協会:京都大学
-
柴田 克己
大阪国際女子大学人間科学部人間健康科学科
-
柴田 克己
帝国女子大学食物学科
-
田中 和美
帝国女子大学食物学科
-
岩井 和夫
京都大学農学部食品工学科
-
田中 和美
武庫川女子大学薬学部
-
柴田 克己
帝国女子大学家政学部
-
岩井 和夫
京都大学農学部
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