ポプラさび病菌Melampsora larici-populina KLEB.の夏胞子による第一次感染について
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概要
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ポプラさび病菌(Melampsora larici-populina)の夏胞子堆は, 通常, 秋になると冬胞子堆に移行し, 越冬は冬胞子によつておこなわれる。しかし, 秋おそくなつて新しく形成された夏胞子堆の一部で, その表面に未熟な冬胞子堆が形成されるだけで, 多数の夏胞子を生じたまま越冬するものが認められた。これらの夏胞子は, 翌春4月始めにおいても, 20℃, 20時間後で29.7%の発芽率を示し, シモニードロ(Populus simonii)に接種試験をおこなつて陽性の結果を得た。また, 秋おそく野外で採集した夏胞子を, 4段階の関係温度(30〜40%, 50〜60%, Ca. 80%, Ca. 95%)および3段階の温度(23〜25℃, 9〜12℃, 2〜10℃)からなる12通りの関係温度および温度の組み合せによる条件下で貯蔵し, 翌春までその生存を調べた。その結果, 低湿度(30〜40%)低温(2〜10℃)の条件においたものは, 4月始めにおいても2〜6%の発芽率を示し, シモニードロに接種をおこなつて陽性の結果を得た。これらの実験の結果から, M. larici-populinaは落葉組織中に存在する夏胞子により, あるいは好適な環境条件では秋に飛散した夏胞子によつても越冬し, 第一次感染をおこし得ることが確かめられた。従つて, 付近に中間寄生となるカラマツが生育していない苗畑や林地においても本病の蔓延の可能性があることが推察される。
- 日本森林学会の論文
- 1960-11-25
著者
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