本邦産針葉樹稚苗立枯病病原 Fusariumの種名および分化型名
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概要
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針葉樹稚苗立枯病の病徴には地中腐敗型・倒伏型・首腐型・根腐型があるが, Fusarium菌によるものは根腐型のものが最も多い。全国から集められた病原菌106株(12株の広葉樹苗菌女含む)はFusarium oxysporum 93株, F. so1ani 5株, F. roseum 4株, F. lateritium 4株に分類され, F. oxysporum が約88%を占めている。これらの株の中で針葉樹稚苗に対しとくに病原性のつよい13株について分化型を検討した。接種試験の結果では, F. oxysporumのいずれの株もカラマツ・アカマツ・スギ・ヒノキを枯死(または罹病)せしめたが,とくにカラマツをつよく犯すものと, カラマツと同程度またはそれ以上にスギやヒノキを犯す型の存在を認めえた。いずれも他の作物には病原性がみられない。前者をF. oxysporum f. sp. pini(Har.) Snyd. et Hans. のrace 1とし, 後者をrace 2としたい。次にF. solaniの分化型は f. sp. radici.colaと同定された。この分化型は一般に不定性の病原菌である。F. roseumとF. lateritiumはそれぞれ既設分化型のf. sp. cerealisまたはf. sp. mori, f. sp. cerealisとは異なっているが, 病原性が不定性なので新分化型名をつけることは困難である。総じて本病の発生は環境条件などによってかなり影響されるもので, 条件によっては種々のものが病原菌となりうるもののようである。
- 日本植物病理学会の論文
- 1966-01-30
著者
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