15 木材炭化に関する研究(第10報) : アラカシ材及びそのリグニンの熱分解について
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概要
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(1)アラカシの木粉とそのメタノールリグニン及び塩酸リグニンを乾溜した。(2)酸として前報と異なり全酸の他に揮発酸を定量した。(3)木粉とメタノールリグニンの乾溜結果は前報とほゞ同様で, 前報にのべた事柄を確認した。即ち(a)メタノールリグニンの場合酸の収量が少く, リグニンは木材乾溜に於ける生成醋酸の起源でありえない。(b)メタノールリグニンは低温溜分にメトオキシル量が多い。(c)木材の場合260°以下の溜分に酸量が多い。(4)揮発酸の測定の結果は全酸の傾向とほゞ同様で意外に高温溜分に於ても酸度が高い。(5)メタノールリグニンと塩酸リグニンの乾溜結果を比較すると酸については両者ともほゞ等しい結果を得ている。メトオキシル基は当然のこと乍ら全溜出量に於て前者が著しく多く, その濃度の変化について見ると前者は低温に於て一つのMax, をもち, 高温のMax, は両者に於てその位置が一致している。(6)メタノールリグニンの低温に於けるメトオキシル含量の低温のMax, は前報に比べてその位置が稍高温部にずれている。このことは緩結合と考えるメトオキシル基が時の経過と共に安定化したものとして興が深い。又メタノールリグニンの乾溜残渣は光沢のある黒色の孔隙の多いピツチ状の塊であるが塩酸リグニンの残渣は光沢のない黒色の粉状物質である。(本研究の費用の一部は文部省科学研究費による)
- 1952-03-25
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