木材炭化に関する研究(第17報) : ヘミセルロースの熱分解
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概要
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木材乾溜において生成する酢酸の大部分はヘミセルロースから由来するという考えかたが弘く認められている。これはアセチル基がヘミセルロースに結合しているという前提の下に考えられている場合のみならず, ヘミセルロースの炭水化物骨格から多量の酢酸が生ずるという認識の上に立つていることが多い。前者の考えかたについては, 第16報においてアセチル基の多い広葉樹においては相当量のアセチル基がヘミセルロースに結びついていることを認めたが, 後者については否定的に考えられるので, 本報においてホロセルロースを経てヘミセルロースを調整し, 乾溜を試み, その真偽を確かめた。なお, この方法により製せられたヘミセルロースの熱分解についての報告は未だ見出し得ない。実験の結果つぎのようなことが判明した。ヘミセルロースは従来の文献の示す如く, 低温において熱分解が盛んである。即ち, 260℃迄の溜出液量はその溜出総量の87.2%, 酸量はその溜出総量の, 全酸で86.5%, 揮発酸で89.1%を示し, また酸濃度, 単位溜分酸量も280℃以下で値が大きく, セルロースと著しい対照を示す。このあまりに低温で分解の著しい状況は木材中のヘミセルロースの熱分解における挙動を推定する基礎となし難い印象を受けるので, 得られた観測値をもとにして, 1%NaOH 処理ホロセルロースについて, 260℃までの溜出液量と酸量を計算してみると, それらの観測地とかなりよ似を示すことを知つた。従つて単離ヘミセルロースの実験結果も木材乾溜における木材中のヘミい近セルロースの挙動と甚しい距りのあるものでないことが期待される。なお酸収量はセルロースの収量に略近く, 炭水化物としての化学構造の類似からも, この結果は妥当と考えられ, ヘミセルロース骨格自体が多量の酢酸の根源であるという考えかたは否定された。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1958-02-25
著者
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南 享二
東京大学農学部
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南 享二
Department of Forest Products, Faculty of Agriculture, University of Tokyo.
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河村 喜美恵
Department of Forest Products, Faculty of Agriculture, University of Tokyo.
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河村 喜美恵
Department Of Forest Products Faculty Of Agriculture University Of Tokyo.
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