1045 シナ材などによる打放し表面の硬化不良現象について(材料・施工)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
昨年1月、樹種シナ、厚さ3mm、3プライ、1類合板(接着剤メラシン尿素共縮合樹脂)を打放し用型枠に使用した所、写真-1の如く表面約2〜3mmが全く硬化せず、粉状に剥落する表面となつた。色はやや黄色味を帯び、手を触れた丈でざらざら剥落する。2類合板でもこの現象が起り、又剥離剤を取替えても同じであつた。然し面白い事に同じシナ材でも必ずしも起るとは限らず、真新しい合板にも拘らず全く異常が起らない壁面もあつた。又、使用回数2〜3回目の型枠は殆んど異常なかつた。その後昨年の8月と9月に又別の現場で同じ事故が起り、やはりシナ合板によるものであつた。前回は真冬で凍結の疑いもあつたが、今回は真夏で、季節に関係ない事がわかつた。その後も2、3同じ事故が続いた事を耳にしている。現在迄の所写真に示す様な甚しい硬化不良を起すのはシナ材に最も多く、ブナでも起きた由であるがラワンでは起きていない。ヒノキ、スギ、ラワン、ブナなど普通一般に型枠として用いられる樹種で、脱型の際型枠に一部硬化不良のアマが附著してくる事があるが(写真-2)、同じ原因による軽微な現象なのか、又は全く別な原因によるものか今の所まだよくわかつていない。原因としてまず考えられる事は木材成分、接着剤、剥離剤などによる異常凝結、あるいはdry-out現象(乾燥した型枠材に吸水されて凝結に必要な水分を失う現象)であるが、剥離剤あるいは接着剤の種類を変えてもシナ材ならば同じ様に起る事、1類合板をアルカリ溶液中に数時間浸漬しても溶液中より接着剤を全く検出出来ない事、又コンクリート打ち直前に充分撒水した場合あるいは降雨で型枠が充分含水している場合でも起る事などを綜合すると、アルカリ溶液で抽出された木材成分がセメントの水和反応を遮げた疑いが最も濃い。
- 1960-10-10
著者
関連論文
- 1045 シナ材などによる打放し表面の硬化不良現象について(材料・施工)
- 15 木材炭化に関する研究(第10報) : アラカシ材及びそのリグニンの熱分解について
- 木材炭化に関する研究(第16報) : ヘミセルローズと他の木材成分との結合について
- 木材乾溜における溜出醋酸量の樹種によるちがいについて
- ツガサルノコシカケの成分研究(第II報)
- 72 ツガサルノコシカケの子実体の成分研究(第1報)
- 11 木材炭化に関する研究(第9報) : アラカシ材及び其のメタノール リグニンの熱分解について
- ジョンコン材中のエノキタケの生育阻害成分について
- 5 木材炭化に関する研究 第6報 : 半工業的規模に於ける木材の含有水分と乾溜成績との関係-III : (炉熱燃焼癈ガスを直接導入し乾溜を連続する場合の炭材含水率の多少による影響等に関する実験)
- 68 木材炭化に関する研究 第5報 : 半工業的規模に於ける木材の含有水分と乾溜成績との関係-II : 脱水期間中炭材の乾燥に関する実験
- 63 木材炭化に関する研究第4報 : 半工業的規模に於ける木材の含有水分と乾溜成績との関係-I : カシ材の含水量とその乾溜成績
- 48 房州産アカシヤモリシマのタンニニン含有量に就いて
- 木材炭化に関する研究(第18報) : 木材セルロースの熱分解
- 木材炭化に関する研究(第17報) : ヘミセルロースの熱分解
- 木材炭化に関する研究(第15報) : 綿セルローズおよび酢酸セルローズの熱分解
- 木材炭化に関する研究(第XIV報) : 木材乾溜における溜出醋酸量の樹種によるちがいについて(2)
- ○櫻樹皮のゲンクワニン配糖体について
- ○クスノキ科植物種子油脂の化学的研究(第1報) : ハマビワ種子油脂の脂肪酸の研究
- ○夾竹桃(Nerium odorum SORAND)の葉の成分(第3報)
- ○ヒノキ酸の構造研究(第6報)過マンガン酸カリ酸化成績体
- ○ツバキ実のサポニンの研究(第1報) : Camellia-saponinの分離とその構成
- ○テシヤノキの成分
- ○植物蝋の研究(第5報)松柏蝋について
- 木材炭化に関する研究(第XI報) : アラカシ材の熱分解における生成醋酸の起源について
- ○コブシのアルカロイド
- ○シデコブシのアルカロイド
- ○ハクモクレンのアルカロイド
- ○ネズ及びハイネズの実の樹脂酸に関する研究