日本産林木種子の無機成分組成
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概要
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材木種子の無機成分についての研究成績は比較的少ない。とくに, わが国においては, ほとんど皆無といつても過言でない実状である。種子は, いうまでもなく, 発芽と次代の初期生長に対する栄養給源としての役割をも狙うものであるから, その中には少なくともそれに必要な無機栄養分が選択的に吸収貯蔵されているものと考えてよかろう。したがつて, その無機成分組成を明らかにすることは, ひとり種子の発芽および発芽初期の幼苗の栄養生理を研究する面から重要なばかりでなく, 苗畑・天然下種地・種子採取用母樹林の肥培管理の合理化という応用面からも, また重要ではないかと考えて, 本研究をとりあげることにした。1953年産のスギ・アカマツの各種子, 1954年産のスギ・ヒノキ・クロマツ・クヌギの各種子, 1955年産のアカマツ・カラマツ・ケヤキ・ヤチダモの各種子の無機成分分析を行つた結果から, 大体つぎのことがいえるように思われる。スギ・ヒノキの種子においては, 石灰が他の成分に比して特に多く含まれ, 石灰苦土比は最大を示す。アカマツ・クロマツ・カラマツの種子は珪酸・苦土・マンガン・燐酸・窒素を特に多く含み, 石灰苦土比は最小である。ケヤキ・クヌギ・ヤチダモの種子中で, ケヤキの種子は他と異なつた組成を示す。すなわち, ケヤキの種子は珪酸・苦土・石灰を特に多く含む。クヌギ・ヤチダモの種子では, これらの成分含量は少ないが, 加里の含量が著しく大である。結局, スギの種子は石灰種子, ヒノキの種子は石灰燐酸種子, アカマツの種子およびクロマツの種子はともに苦土燐酸珪酸種子, カラマツの種子は燐酸珪酸種子, クヌギの種子は加里種子, ケヤキの種子は石灰珪酸種子, ヤチダモの種子は加里燐酸種子といえよう。
- 一般社団法人日本森林学会の論文
- 1957-06-25
著者
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