Phyllosticta sp.の培養濾液から分離した毒物質Phyllostineの生理活性
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概要
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アカクローバ罹病葉から分離したPhyllosticta sp.菌の培養濾液から, 自然感染葉病斑類似の障害を起こす物質として, 既に報告したphyllosinolについで新物質phyllostineを分離した。本物質はphyllosinolについで多量に生産され, その化学構造はphyllosinolに類似する。本報告ではphyllostineとphyllosinolの植物および微生物に対する生理活性を比較した。phyllostineは低濃度(10^<-8>〜10^<-4>M)で幼植物の生育, 特に根部の生育を促進するが高濃度(10^<-4>M)で阻害する。また小豆Cuttingの下胚軸において不定根の形成を促進する。これらの活性は一般にphyllosinolより高い。またphyllostineは幅広い抗菌スペクトルを有し, 阻害はphyllosjnolの2〜8倍の活性を示した。また抗菌力は各種のSH-化合物により抑制が認められ, また2-hydroxymethyl-1, 4-quinoneとの抗菌力の比較試験等から, phyllostineの抗菌作用は, 本物質の有するα, β-不飽和ケントおよびエポキシ基によると考えられる。
- 日本植物病理学会の論文
- 1972-09-01
著者
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