放線菌由来の抗イネ白葉枯病物質
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概要
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新しいイネ白葉枯病防除剤を創出するために, 放線菌培養液を用いてスクリーニングを続けてきた。スクリーニングは, in vitroにおける選抜を行なわずに, 培養ろ液をイネの根部に直接施用する方法により行なった。その結果, 静岡県の土壌から分離されたStrepomyces zaomyceticus strain SF-1836の培養ろ液中に, 抗イネ白葉枯病因子の存在を認めた。この培養ろ液は, ジャガイモ半合成等の培地上ではXanthomonas oryzaeに抗菌作用を示さなかった。従って, 精製の際の生物検定は, 全てイネの根部浸漬法によって行ない, イオン交換樹脂等を用いた方法により, その因子を単離することができた。この物質は, C_5H_7NO_2の分子式を持ち, 文献記載例のない新規なアミノ酸であることが判明した。その後, この抗イネ白葉枯病物質は, 最少培地等の栄養源の制限された培地上でのみXanthomonas属, Bacillus subtilisの1系統およびEscherichia coliの1系統に抗菌作用を示す事が明らかとなった。この抗菌作用は, 培地中へL-プロリンを添加することにより消失するので, 本物質はL-プロリン拮抗物質であると思われる。しかし, in vivoにおける試験では, 本物質とL-プロリンとの間に, 拮抗現象を認めることはできなかった。この抗イネ白葉枯病物質の, 最少培地上における抗菌メカニズム, L-プロリンとの拮抗現象および, イネ白葉枯病防除作用等の生物活性に興味がもたれる。
- 1979-04-25
著者
-
関沢 泰治
玉川大学農化
-
鈴木 幸雄
明治製菓(株)中央研究所
-
岩田 道顕
明治製菓薬品総研
-
岩田 道顕
明治製菓(株)
-
近藤 泰光
明治製菓(株)中央研究所
-
猪原 健夫
明治製菓(株)薬品開発研究所
-
渡辺 哲郎
明治製菓(株)中央研究所
-
関沢 泰治
明治製菓(株)中央研究所
-
関沢 泰治
明治製菓(株)中央研
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