疫病菌感染初期におけるジャガイモ塊茎細胞膜の透過性の変化について
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概要
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ジャガイモ塊茎スライスに疫病菌親和性ならびに非親和性レースを接種し, 感染が始まると同時に(1)表面電位差の測定(2)浸出イオンの電気伝導度による測定(3)あらかじめ吸収させた^<32>Pの漏出の測定を行った。これらは細胞から浸出したイオン濃度の測定と考えることができる。強い圃場抵抗性を併せもったR_1-遺伝子抵抗品種リシリでは殆んど貫入が始まると同時に非親和性レース感染スライスの方が親和性レース感染スライスより細胞外イオン濃度の増加が著しい。諸実験結果は明らかに非親和性レースによる宿主細胞の過敏感細胞死以前に既に非親和性レース感染細胞の方が, 親和性レース感染細胞より細胞外のイオン濃度が増加することを示している。これに反して圃場抵抗性の著しく弱い(胞子形成が見られる)R_3-遺伝子抵抗性品種ぺントランドエースでは測定時間内には非親和性, 親和性レース感染スライス間に差を見なかった。またすべての実験を通じて親和性レースの感染によっても貫入が始まると殆んど同時に細胞外浸出液のイオン濃度が増加する。以上のべた非親和性及び親和性両レースによる感染ごく初期の細胞外液のイオン濃度の増加は次の2つの理由「(1)塊茎を切断してスライスを調製してから20時間たってから接種した場合に非親和性, 親和性ともに菌の細胞内進展速度に差がないにかかわらず, 切断直後接種よりイオン濃度の増加が著しい。(2)^<32>P-漏出も両レース感染で速やかに増加する。」から感染による細胞壁物質の分解流出によるものではなく, また菌からのイオンの分泌でもなく, 主として宿主細胞の原形質膜の透過性の変化によるものであろうと推定した。
- 日本植物病理学会の論文
- 1976-07-25
著者
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