ジャガイモ塊茎切断後の過敏感反応能力の獲得曲線とBcSによるその各段階の反応能力の固定維持
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概要
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ジャガイモ疫病菌を接種してからジャガイモ細胞が過敏感細胞死を起こすまでの時間の長短は, 過敏感反応能力の強弱の程度を示していると考えることができる。被感染細胞の過敏感死が速やかに起これば過敏感反応能力は高い。ジャガイモ塊茎を厚さ3mmのスライスにし, 切断後種々の異なった時間18Cの保温室に置き, そのあと非親和性ジャガイモ疫病菌を接種し, 宿主細胞の過敏感死に至るまでの時間を観察した。切断後接種までの時間が長くなるにつれて過敏感細胞死に要する時間は短縮し, 切断後16-20時間置いてから接種した宿主組織は最も速やかに過敏感反応を起こした。すなわち菌接種後約5時間で50%細胞死を起こした。また切断後スライスを種々の異なった時間に5ppmの蛋白合成阻害剤プラストサイジンS (BcS)を処理し, 切断後16.5時間めにそれぞれのスライスに同時に非親和性疫病菌を接種し, 被感染細胞の過敏感死に至る時間を比較観察した。組織切断後BcS処理までの時間が長くなればなるほどそれに対応して, 細胞死は速やかに起こった。切断16時間後にBcS処理したものは, 最も速い過敏感反応を示し, 接種後約6時間で細胞死が起こった。以上の結果は, BcS処理によって推定された塊茎切断後の過敏感反応能力獲得に要する時間が, ほぼ菌接種後(BcS無処理)のそれに一致することを示している。BcS無処理の方がBcS処理の場合より若干速やかに反応が起こるのは, 前者では接種後もエージングが進行するためと考えられる。したがってBcS処理によって各々の段階の過敏感反応能力は相当時間にわたって固定維持できると結論した。また塊茎切断後過敏感反応能力が獲得され始めるまでに約4時間のラグが見られた。この間, 切断傷害代謝反応は進行しているが, 過敏感反応に必要な酵素系がまだ完成していないと考えられる。
- 日本植物病理学会の論文
- 1979-04-25
著者
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