クワ炭疽病菌Colletotrichum acutatumは桑樹で越冬する

概要

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クワ炭疽病菌の一種であるColletotrichum acutatumの越冬場所を明らかにする目的で,本病が毎年発生している桑樹を用いて本菌の生息状況を調査した。1995年11月〜1997年1月にかけて桑樹の外観健全な葉および枝条を定期的に採取・細断し,各小片から常法により分離を行った。落葉する冬期には,樹皮および冬芽の鱗葉から本菌が分離されたが,枝条木質部および冬芽内部からは分離されなかった。また,葉の展開している時期では,樹皮だけでなく無病徴の葉身および葉柄からも本菌が分離された。さらに,樹皮における本菌の生存部位を調べた結果,本菌は樹皮の表面に存在しているか,内生しているとしても表面にごく近い部位に局在していることが示された。以上の結果から,本菌は桑樹上に表生あるいは浅く内生して越冬し,翌年の発病を引き起こすものと推察された。また,クワ炭疽病菌3種について桑の切り枝での生存を比較したところ,本菌の冬期における生存能力は,他2種(C. dematium, Glomerella cingulata)より高かった。
日本植物病理学会の論文
1999-06-25