Burkhol-deriaglumaeによるイネ苗腐敗症の病徴発現におけるトキソフラビンの役割
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概要
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イネもみ枯細菌病菌B. glumaeの病原性因子を調べる目的でトランスポゾン(Tn)突然変異誘発法を用いて病原性欠失変異株を分離することを試みた。野生株へのTn4431の導入後, 得られた変異株から毒素生産性欠失株を選抜し, さらにイネ催芽種子を用いて病原性欠失変異株を選抜した。これらの病原性欠失変異株からサザーンプロット解析によりゲノムDNAの1カ所だけにTn挿入が起こっている変異株No.19株を分離した。このNo.19変異株から調製したTnに隣接するゲノムDNA断片をプローブとして, B. glumae野生株のコスミドゲノムライブラリーからコロニーハイブリダイゼーション法によりプローブ陽性を示す6つのクローンを単離した。これらクローン中のコスミドを接合伝達によりNo.19変異株に導入した結果, 形質転換株No.19-61では毒素生産性が相補されると同時に, 病原性が回復されることが認められた。また, No.19-61株の産生する毒素を単離・精製し, 構造解析を行ったところ, トキソフラビンであると同定された。以上のように, トキソフラビン非生産株No.19では病原性を示さず, 毒素産生回復株No.19-61では病原性を回復することから, B. glumaeによるイネ苗腐敗症の病徴発現における発病力としてトキソフラビンが必須要因であることが示唆された。
- 1998-04-25
著者
-
山口 勇
理化学研究所横浜研究所
-
米山 勝美
明治大学農学部
-
米山 勝美
明治大学農学部農学科植物病理学研究室
-
河野 芳樹
茨城大農
-
河野 芳樹
茨城大学農学部
-
堀越 守
日本農薬株式会社
-
廣岡 卓
日本農薬株式会社
-
廣岡 卓
日本農薬
-
山口 勇
理化学研究所
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