正規トレース集合を用いた並行分散プロセスの合成

概要

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本発表では, 並行分散プロセスの時系列的な振舞いから形式的手法によってプロセスを合成する方法を提案する.並行分散プロセスの開発を支援するために, 数多くの形式的仕様記述言語とCASEツールが開発されてきた.しかし, プロセス間の相互作用を表す仕様から個々のプロセスが実行するプログラムを導出する過程は, 依然として自動化が困難な領域である.並行分散プロセスの仕様は, 典型的な利用局面における時系列的な振舞いが例示される場合と, より直接的に状態遷移関数が与えられる場合とがある.しかし, 開発工程における順序の観点からは前者の方が抽象度が高く, 後者に先行するものと考えるのが妥当である.したがって, もし, あるプロセスの時系列的な振舞い仕様の集合から, その状態遷移関数を自動的に獲得できれば, 設計期間の短縮, 仕様変更に対する柔軟性等, 数多くの利点が期待できる.我々が提案する手法は, ある利用局面における, 目的プロセスの時系列的な振る舞いを, 制約条件式と関連する処理の対で構成される正規表現(正規トレース)で表し, 正規トレース集合から目的プロセスが実行する手続き型プログラムを形式的に合成するものである.本発表では, (1)正規トレース集合によるプロセス定義の構文と意味, (2)等価性の定義, (3)非決定性解消アルゴリズム, (4)最簡状変換の順に論議を行い, 最後に簡単な適用事例を示す.
一般社団法人情報処理学会の論文
2001-03-15

正規トレース集合を用いた並行分散プロセスの合成

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