放送により配信される位置依存情報のキャッシュ方式(<特集>モバイルコンピューティング)

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近年, 人・道路・車両を情報ネットワークで接続し, 交通渋滞や事故, 環境悪化などの交通問題の軽減に向けて, 高度道路交通システム(ITS)の研究が世界的に行われている.自動車に計算機を搭載し, 無線通信を用いてデータをやりとりするシステム(車戴情報機器)がすでに複数提案されている.これらのシステムで利用されている通信手段は, 携帯電話が一般的であるが, 通信帯域が狭いため, 十分に性能を発揮することができず, また, 通信費用が比較的高価であるため, 普及の妨げになっていると考えられる.一方, このような車戴情報機器に対しての情報提供手段として, 近い将来, 地上波あるいは衛星のデジタル放送が実用化される見通しとなっている.これらは比較的帯域が広く, 一般に通信費用が安いといった特長を持っているが, 単方向の周期的な情報配信であるため, ユーザは必要なデータが放送されるまで待つ必要がある.このような待ち時間を軽減するためには, キャッシュを利用することが必要となる.放送データをキャッシュするためのさまざまな手法が提案されているが, 本論文では, 車戴情報機器で利用されるデータは, 位置に依存した情報が多いという環境において, 移動計画を用いることで, 位置依存情報を高率良くプリフェッチ, リプレースするためのキャッシュ方式を提案するとともに, キャッシュサイズをパラメータとして, この方式におけるデータアクセスに対してのペナルティの評価を行う.また, 放送を模擬したシステムの実装を行い, 車戴情報機器に対しての地図データの配信において, 本方式が有効に動作することを確認する.
一般社団法人情報処理学会の論文
2000-09-15

放送により配信される位置依存情報のキャッシュ方式(<特集>モバイルコンピューティング)

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