高速自動微分法と区間解析とを用いた丸め誤差推定
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概要
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本稿では,関数の計算値に含まれる丸め誤差の絶対値の厳密な上界を求める実用的な算法を提案する.また,普通の条件下では,演算の精度を高めるに従い,その上界が上限に近づくことも示す.我々の手法は,浮動小数点数を両端点に持つ実数区間の区間演算(機械区間演算と呼ぶ)と"高速自動微分法"とを組み合わせたものである.高速自動微分法は,多変数の関数の値を計算する手続き(プログラム)が与えられたとき,関数値の計算に必要な手間の高々定数倍の手間で,関数のすべての変数に関する偏導関数値およびに関数の計算値に含まれる丸め誤差の絶対値の上限の良い近似値を計算する実用的な方法である.本稿の手法によれば,丸め誤差の絶対値の厳密な上界と数値計算結果とから,丸め誤差のない真の関数値を含む区間を定めることが可能となり,数値計算結果の品質の保証につながる.通常の区間解析によってもそのような保証区間を計算できるが,大規模・複雑な関数に対しては,その区間幅が非実用的に過大評価されがちである.線形方程式系の解に含まれる丸め誤差を例にとって,区間解析と比較して,本手法の有効性を数値実験的に示す.
- 1989-07-15
著者
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