微分係数を用いた埋込み型 Runge-Kutta 系2段公式について

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数値計算の分野で,関数計算に加えて微分係数の計算も要する手法は,関数計算の手続きのほかに導関数計算の手続きも与えなければならないという理由から,従来極力回避され,やむを得ず微分係数を用いなければならない場合には数値微分が用いられてきた.しかし,伊理,Rall らにより提案されている自動微分法によると,関数計算の手続きさえ与えれば関数計算と同時に微分係数も効率よく精確に求められるから,微分係数はもっと積極的に使用されてよいと思われる.その一例として,微分係数を積極的に使用する Runge-Kutta 系の常微分方程式数値解法公式について考察する.この型の2段4次公式をさきに発表したが,本論文では,打切誤差推定能力を持つ埋込み型の公式を一般的に論じ,特に新しい2段3-4次公式を与える.これは,2段4次公式の中に3次公式が含まれるようにし,余分の手間をかけることなく打切誤差を推定し,それに基づいて刻み幅を制御することを可能にしたものである.従来行われている一般の打切誤差推定能力を持つ Runge-Kutta 系埋込み型3-4次公式では5回の関数計算が必要であるが,ここで示す自動微分法を利用する2段3-4次公式は4回の関数計算を行う通常の Runge-Kutta 4次公式とほほ同じ手間で打切誤差推定ができる.したがって,打切誤差推定能力を持つ3-4次公式のうちで最も効率のよい公式であり,打切誤差の大きさの面からも最適なものである.
一般社団法人情報処理学会の論文
1987-08-15

微分係数を用いた埋込み型 Runge-Kutta 系2段公式について

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