計算誤差による暴走の心配のないソリッドモデラの提案
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ソリッドモデラにおける最も重要な問題の一つは,図形の交差判定である.図形要素が非常に接近したとき,数値計算の誤差が図形の交差の順序を逆転させることがある.このような誤った判定に基づいて図形を操作すると,たとえば立体の表面の表と裏が部分的にひっくりかえったりして,システムの暴走の原因となる.これを防ぐために,従来のシステムでは"非常に接近した図形要素は同じ位置を占めているとみなす"という便宜的処理にたよっており,暴走を完全に防ぐことはできていない.本論文では,計算誤差による交差判定の誤りを完全に防止できる多面体モデラの一設計法を提案する.これは,最近,数値計算や計算量の理論などの分野で認識され始めている,"有限の桁数で表された原始データを厳密に正しいものとみなすと,それを用いた計算結果の符号判定もやはり有限の桁数の計算で厳密に行うことができる"という"新しい観点"を利用したものである.まず,この観点からソリッドモデラにおける図形の表現法・操作法をみなおす.そして,多面体を構成する各面の方程式の係数を唯一の基礎的データとみなし,すべての図形操作をこのデータにさかのぼって行うことにより,基礎的データの5倍の精度の計算で上の目的を達成できることを示す.また,予備的な計算実験例もあわせて報告する.
- 1987-09-15
著者
関連論文
- Crystal Voronoi Diagram and Its Applications (Algorithm Engineering as a New Paradigm)
- 乗法重みつき結晶成長ボロノイ図の近似構成法とその応用(多次元信号処理とその応用・実現論文小特集)
- NLC2000-13 構文情報の定量化とそれを用いた言語比較
- Voronoi図を用いた多次元データの補間 (新しいパラダイムとしてのアルゴリズム工学)
- 3次元単体メッシュ生成の課題 : 計算幾何学の立場から (数値計算における前処理の研究)
- 部屋を実際より広く見せる写真術(応用数理の遊歩道(1))
- 誤差による破綻の心配のない線分 Voronoi 図構成算法
- 概念形成過程を観察するためのグラフ理論的一手法
- 制約つき3次元Delaunay図の構成算法
- 退化を許す3次元Delaunay図構成算法
- 3次元ボロノイ図構成のための数値的に安定な逐次添加法
- 検出もれのない代数曲線の追跡法
- 計算誤差があっても破綻しない線分交点列挙アルゴリズム
- 3.画像からの立体の認識(AI(人工知能)と画像技術)
- 計算誤差による暴走の心配のないソリッドモデラの提案
- 7p-L-1 音声の先験的分類可能性について
- 負極性沿面放電の進展モデルの進展パラメータ解析
- 負極性沿面放電の進展モデルの解析解の導出
- 負極性直線状沿面放電の進展モデルとその解析解
- モデルを用いた放電のシミュレーション
- 沿面放電の進展条件の検討[2]-解析解の導出法
- 沿面放電進展の相転移的考察(4)
- 計算幾何学と折れ線近似問題
- 最短路算法の実際的評価と新バケット法
- システムの異常の原因探索問題への一つのグラフ理論的接近法
- 非解析的な関数を用いた変数変換型数値積分公式
- 非解析的な関数を用いた変数変換型数値積分公式について(並列数値計算アルゴリズムとその周辺)
- 大域的収束性をもつ代数方程式の解法 (数値計算のアルゴリズムとコンピューター)
- 高速自動微分法と区間解析とを用いた丸め誤差推定
- 高速自動微分法(II)
- 高速自動微分法(I)
- 最適化算法と高速自動微分法について(数値解析と科学計算)
- 高速自動微分法と区間解析とを用いた丸め誤差推定
- 最短路問題の"最適"算法について (計算の手間と能率化)
- Voronoi線図を構成する逐次添加型算法の改良と諸算法の実験的比較
- 数値的に安定な分割統治型Voronoi図構成算法
- あふれのない浮動小数点表示方式
- あふれのない浮動小数点表示について (数値計算のアルゴリズムの研究)
- 5. 区間演算を用いた丸め誤差解析 (精度保証付き数値計算とその応用)
- Voronoi図とSteiner木
- 与えられた平面分割のVoronoi近似
- モデリングにおける内的整合性について(特別講演)
- [招待論文]地理情報システムの現状と課題(グラフ,ペトリ,ニューラルネット,及び一般)
- [招待論文]地理情報システムの現状と課題(グラフ,ペトリ,ニューラルネット,及び一般)
- Runge-Kutta-Gill法について
- 日本応用数理学会の初心(フェロー)
- モデリング考(モデリング-最適化モデリング-)
- 国際化とGIS-ボーダーレスの時代, 異分野協同の必然性
- 地理情報システムの現状と課題
- 高橋秀俊,石橋善弘 : 電子計算機によるexactな計算の新方法(mod p演算の応用)(20世紀の名著名論)
- 地理情報システムにおけるデータ構造とアルゴリズム
- 日本応用数理学会創立十周年を迎えて(第10回年会総合講演より)
- 沿面放電進展の相転移的考察(3)
- 応用数理に関連する言語的諸問題(応用数理の遊歩道(15))
- 次元と行列に関する随想II(応用数理の遊歩道(14))
- 新世紀における空間データ基盤の役割(空間データ基盤の基礎と応用)
- 次元と行列に関する随想I(応用数理の遊歩道(13))
- 負極性直線状沿面放電モデルの検討
- 沿面放電進展の相転移的考察 (特集:平成10年度若手セミナ-「放電プラズマを科学する」)
- 柔軟な対話制御機構を持ったコンサルテーション・システム