気管支喘息の治癒化の因子に関する検討 : 第1報 自然治癒(緩解)群における臨床的検討 : とくに, アトピー性素因と気道過敏性を中心として
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概要
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この研究は, 小児気管支喘息の自然治癒(outgrowing)の機序を検討し, 気管支喘息の病態生理の一端をうかがい, これらの改善因子を解明する手がかりを得ることを目的として行われた.3年以上(平均5.9年)の気管支喘息既往歴を有し, 検査前3年以上(平均6.1年)発作を認めていない15才から20才までの48名(I群とする)と, 現在も気管支喘息発作を有する同年代の31名(II群とする)と, 気管支喘息既往歴を有しない正常人20名(III群とする)の問診, 現症, 皮内反応成績, 末梢血好酸球数, 血清 IgE 値, ヒスタミン吸入閾値を比較検討し, 次の結論を得た.1) 発症年令, 既往歴, 家族歴におけるアトピー性疾患の頻度, 屋内塵, ブタクサ花粉, スギ花粉に対する皮内反応陽性率はI, II群の間で特に差を認めなかった.2) 末梢血の好酸球数はII群でもっとも高く, I群, III群の順であった.I群とII群の間(P<0.05), II群とIII群の間(<P 0.001) にそれぞれ有意の差を認めた.3) 血清 IgE 値は, I群で46名中24名, II群で29名中15名に高値(700unit/ml)を示し, 両者の間に特に差は認めなかった.一方, III群では全例で500unit/ml 以下であった.4) FEV_<1.0> で20%以上の低下をきたすのに必要なヒスタミン吸入閾値は, 3群でそれぞれ著明な差(P<0.05)を認めた.I群, II群, III群の吸入閾値の平均(標準偏差の上限-下限)は, それぞれ3810μg (8350μg-1854μg), 943μg(2823μg-383μg), 10700μg(18530μg-6329μg)であった.5) ヒスタミン量で示される気道閾値と好酸球数, 血清 IgE 値との間には, 直接的な関係は認められなかった.以上の結果は, 小児気管支喘息の自然治癒に関して, 気道反応性は非常に重要な因子の1つであることを示しているものと思われる.
- 日本アレルギー学会の論文
- 1974-12-30
著者
-
永田 頌史
国立精神・神経センター
-
小林 節雄
群馬大学医学部第一内科学教室
-
手嶋 秀毅
九州大学医学部心療内科
-
吾郷 晋浩
九州大学医学部心療内科
-
小林 節雄
群馬大学医学部第1内科
-
井上 貞久
九州大学医学部心療内科
-
高橋 宣生
福岡市
-
酒見 英昭
九大心療内科
-
永田 頌史
九州大学医学部心療内科学教室
-
高橋 宣生
九州大学医学部心療内科学教室
-
酒見 英昭
九州大学医学部心療内科学教室
-
小林 節雄
群馬大学医学部医学部第一内科
-
永田 頌史
九州大学医学部心療内科
-
小林 節雄
群馬大学医学部内分泌内科
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