HMG-HCG療法による排卵誘発時の卵胞の観察 : とくに副作用防止の立場から
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概要
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尿中および血中estrogen値は卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimulation syndrome:OHSS)発生予知の指標となることが報告され,HMGHCG療法時のmonitoring法として汎用されている.しかしestrogen測定法は繁雑であり,かつ結果判定までに数時間〜数日を要し,日常の臨床にとって最適の方法とはいい難い.そこで超音波断層法(USG)を用いたOHSS発生予知法について検討した.HMG-HCG療法を施行した40例,79周期(無排卵周期症4例;12周期,第?度無月経12例;17周期および第?度無月経24例;50周期)について,Aloka Fansonic 190 sectorscanを用いて最大卵胞長径(FD)および総卵胞断面積(FA)を測定し,血中estradiol(E_2)値との相関を求めた.さらにHCG切換え日におけるFDとFAのそれぞれと排卵およびOHSSとの関係を検討し,次のような成績が得られた.1)排卵可能な卵胞長径の最小値は15mmであり,100%の排卵率はFD18mm以上であった.2)FDと血中E_2値との相関係数は0.3794(p<0.001)であり(n=74),FDは血中E_2値を反映するとはいえない.3)FAと血中E_2値との相関係数は0.8113(p<0.001)であり(n=74),FAはE_2値をよく反映し,OHSSの予知指標となる.OHSSが発生した26例のうち1例(中等度OHSS)を除く25例のFA値はすべて6・Oc?以上であった.また重度OHSSはすべて7.Oc?以上で認められた.以上の成績から,OHSS予防を考慮した排卵誘発には,FDとFAの2指標の組合せによる判定が有用であることが示唆された.これら2指標を用いたHCG切換え基準はFA7.Oc?未満で,かつFD18mm以上ということになる.そしてFA7.Oc?以上のときは,HCG投与を中止すれば,少なくとも重度OHSSの発生は予防できる.USGによるmonitoring法は簡便性と迅速性に富む検査法であり,HMG-HCG療法時の管理にきわめて有用な手段となる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-05-01
著者
-
石丸 忠之
長崎大学医学部産科婦人科学教室
-
増崎 英明
長崎大学医学部産科婦人科学教室
-
石丸 忠之
長崎大学医学部歯学部附属病院 遺伝カウンセリング室
-
今村 定臣
スポーツと性機能に関する小委員会
-
黄 宏駿
長崎大学医学部産科婦人科学教室
-
中島 久良
長崎大学医学部産婦人科学教室
-
梶村 秀雄
三浦産婦人科医院
-
増崎 英明
長崎大学医学部・歯学部附属病院 産婦人科
-
山下 隆則
長崎大学医学部産婦人科学教室
-
中島 久良
長崎大学医学部保健学科
-
岡本 純英
長崎大学医学部産婦人科教室
-
岡本 純英
長崎大学 産婦人科
-
黄 宏駿
長崎大
-
中野 龍夫
長崎大学医学部産婦人科学教室
-
森崎 正幸
宝マタニティクリニック
-
梶村 秀雄
長崎大学医学部産婦人科学教室
-
渕 利雄
長崎大学医学部産婦人科学教室
-
今村 定臣
長崎大学医学部産婦人科学教室
-
今道 節夫
長崎大学医学部産婦人科学教室
-
秦 知紀
長崎大学医学部産婦人科学教室
-
森崎 正幸
長崎大学医学部産婦人科学教室
-
今道 節夫
長崎大学医学部産科婦人科学教室
-
渕 利雄
長崎大 医
-
黄 宏駿
長崎大学医学部産婦人科学教室
-
今村 定臣
長崎大学医学部産婦人科
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