塩酸リトドリン点滴治療が妊婦の血糖値の日内変動に及ぼす影響

概要

論文の詳細を見る
切迫早産で塩酸リトドリン点滴治療を必要とした耐糖能正常妊婦33例を対象に, 塩酸リトドリン点滴投与開始後24時間 (phase 1, 17例) までの母体血糖値の変化, および5日間以上持続点滴投与した場合 (phase 2, 21例) の母体血糖値の変化について検討し, 以下の結果を得た。1. Phase 1では投与開始後より母体血糖値は上昇し, 投与開始後9時間で最高血糖値 (146.4±31.6mg/dl) を示し, その後, 漸減したが24時間後でも投与開始前より高値 (138.8±37.5mg/dl) であった。2. Phase 2では血糖値の日内変動を塩酸リトドリン投与していない正常群 (対照群) と比較したが, 両群間に有意差は認めなかった。3. 塩酸リトドリン投与群の各phaseにおける平均血糖値および最高血糖値の比較では, いずれもphase 1がphase 2よりも有意に高値であった (平均血糖値, 128.1±21.3mg/dl vs. 92.7±11.6mg/dl, p<0.05; 最高血糖値, 159.5±25.2mg/dl vs. 106.6±14.5mg/dl, p<0.05) 。4. 同一症例8例における検討でも, 3.と同様の結果が得られた。5. 塩酸リトドリンの投与量と平均血糖値との関連を各phaseについて検討し, phase 1では, 塩酸リトドリン投与速度の増加に伴う平均血糖値の増加傾向を示したが, phase 2では塩酸リトドリン投与速度と血糖とに明らかな関連は認めなかった。以上のことより, 選択的β2-刺激剤である塩酸リトドリン投与によって, 急性期には血糖値が上昇するが, 長期投与により血糖値の正常化および用量反応性の低下が起こることが示唆された。
1996-07-01

塩酸リトドリン点滴治療が妊婦の血糖値の日内変動に及ぼす影響

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク