子宮頚癌における比較的低線量術前照射の意義に関する研究
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概要
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比較的低線量(2,000〜3,000R)の術前照射の効果を320例の頚癌手術例について詳細に検討した. 一次効果として, 骨盤リンパ節への照射効果, 一次障碍として, 手術を中心とした合併症について検索した. その結果, 特に3000R照射では組織学的効果が著明であつたが, 重篤な一次障碍は発生しなかつた. Full Doseの照射量が重篤な障碍発生の点から否定されている事からみて, この程度の照射量が術前照射として適当である事が確められた. 次に5年治癒率を求め, 対照の820例と比較し, その効果の検討を行つた. その結果, 全体としてみた場合, 術前照射の効果は全く認められなかつた. しかし乍ら, これを術後分類によつて分類し, 比較検討したところ, 主として次の知見を得た. 即ちClass IIb, IIcに属する少数を占める(12%)の真の進行癌に於いてのみ5年治癒率の有意の上昇がみられた. しかしこの上昇は大多数を占めるClass I (80%)の症例の成績によつて, 隠蔽されていることが明らかとなつた. しかし, この進行癌における有意の治癒率の上昇は術前照射のみによるものではなく, 術後照射4,000Rとの相乗効果と考えるべきである事が推測された. 又再発部位の検討成績から手術時癌細胞の撒布の抑制効果は認められなかつた. 連発障碍としては重篤な障碍はなかつたが, 下肢浮腫, 腹壁の硬結が多発した. 術前にFull Doseを与えられない事, 有意の治癒率上昇を得る為には進行癌にはFull Doseの線量附加が必要である事, 術前に真の進行癌であることを知りがたい事, これらを考え合せて次の結論をえた. 全例に術前件照射を行うことは有害無益である. そして真の進行癌にのみ充分な照射線量を与えるべきであるが, これを術前に知ることが困難であるから, どうしても術後照射の個別化によらざるを得ない. 即ち剔出標本に於ける癌の拡がり, 術中所見, 手術の完遂度を勘案して遺残の可能性が最も高い部位にのみ限局して充分な術後照射を行なうべきであろう.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1971-11-01
著者
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