Walker 腫瘍における微小循環系の動態と機能に関する研究
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概要
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腫瘍組織は腫瘍細胞とそれを支える間質血管系より成り立つており, それらの接点となつているものは毛細血管を中心とした微小循環系である. 従つて腫瘍組織の微小循環系の検索は放射線感受性はもとより, 治療比の向上, 組織回復等の点からみて極めて重要なことといえよう. そこで腫瘍内微小循環系の動態を以下の方法で検索した. Walker 腫瘍を用い polarographical circuit によつて組織酸素分圧を測定し, 次いで超短波照射という負荷を加え, 更に数種の血管作働性薬剤を投与することによつて組織の酸素分圧の変動を検索した. その成績にもとずき腫瘍の微小循環系の状態を把握する3種の ratio (腫瘍血管効率, 超短波負荷反応, 血管反応率) を考案して検討を加えた. 更にRIラベルの血管作働性薬剤の組織内分布の測定及び microangiography による検索を行つた. その結果, 腫瘍内微小循環系も基本的には正常組織における微小循環系と同様な機構をもつが, 機能的には効率が悪く微細な調節機能が行われにくい状態になつていることを推論した. また腫瘍の微小循環系の動態及び機能を考える場合には常に機能的な capillary flow と非機能的な shunt flow との比率を考慮しなければならないことを推論するに到つた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1973-08-01
著者
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