イヌ子宮動脈における血管内皮依存性弛緩物質(EDRF)とアラキドン酸代謝

概要

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イヌの子宮動脈ring状標本を用いacetylcholine(ACh)およびCa^<2+>-ionophore A23187による血管内皮依存性弛緩反応の発生機序とその意義について, アラキドン酸代謝の面より検討した.1) イヌ子宮動脈において, AChやA23187より惹起される弛緩反応は内皮依存性であった.2) この内皮依存性弛緩反応は, indomethacin前処置にて変化なく, nordihydroguaiaretic acid(NDGA)やAA861の前処置にて抑制されたことからlipoxygenase系を介する反応と考えられた.3) 妊娠イヌ子宮動脈においても, 同様の内皮依存性弛緩反応が確認された.これらの成績より, この内皮依存性弛緩物質(EDRF)は子宮における血液循環の恒常性維持にとって重要であると考えられた.そして, EDRFの放出抑制は, 血管の〓縮とも関連し, 妊娠中毒症やIUGRの成因になんらかの影響を及ぼす可能性が示唆された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1987-10-01