人胎盤絨毛組織におけるGlycolytic Enzyme Patternの推移
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概要
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近年,酵素化学に関する研究の進歩から,酵素活性の量的のみならず質的な分析が可能となり,代謝学上における意義に関して種々検討されている.そこで我々は,母児間に介在すると考えられる糖代謝調節機序の解明の一端として,妊娠初期(8週〜14週),中期(16週〜24週),末期(32週〜42週)の人胎盤絨毛組織80例における解糖系酵素LDH, PGMの推移を,その活性値とisozyme patternから検討して,次の結果を得た. 1) LDH活性値は妊娠の進行にともない減少する傾向にあり,初期群と末期群の間には有意差(P<0.001)が認められた. 2) LDH isozyme patternからみると,初期群ではLDH_3, LDH_4が高値をとる嫌気的patternを示したのに比べ,中期群,末期群ではLDH_1が著しく増加し(P<0.001)好気的patternを示した. 3) PGM活性値は妊娠全期間を通してみると中期群で減少する凹型傾向を示したが,特に初期群,中期群に比較し末期群では有意(P<0.05)に増加する傾向を示した. 4) PGM isozyme patternの変異は認めなかつたが,表現型の頻度はPGM 1型60.0%, PGM 2-1型32.5%,PGM 2型7.5%であり,赤血球のそれとよく一致した.さらにPGM_1座位のisozymeから,初期群と末期群の量的増加を知ることが出来た. 以上の成績より,胎盤絨毛組織の解糖過程に関与する酵素系の変動と,その質的分析を検索することによつて,胎盤のagingと機能分化の様相の一端をうかがい知り得ると考えられた.
- 1977-11-01
著者
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