卵巣癌手術における維持化学療法の意義 : ヌードマウス移植系を用いた検討
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概要
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卵巣癌手術後の維持化学療法の意義を検討するためヌードマウスに移植継代されているヒト卵巣癌株を用いて実験を行った。腫瘍株はYST-2(Embryonal carcinoma (樋口・加藤)及びOVA-2(分類不能癌),薬剤は5FU製剤として1-Hexylcarbamoyl-5-fluorouracil(HCFU)を用いた。 実験1 YST-2株をヌードマウスに移植後、腫瘍体積が3,000mm^3に達した時点で腫瘍を切除し腫瘍の完全摘除群を作製した。この各群について腫瘍摘除後7日目より(1)HCFU投与群としてHCFU 100mg/kg/day 60日間投与、(2)対照群として0.3%メチルセルロース0.1ml/マウス/dayを60日間投与した。その結果、完全摘除群においてはHCFU投与により腫瘍の再増殖の抑制が明らかに認められた。非再発率は(1)52.0%、(2)21.1%となり再発が抑制された(p<0.01)、担癌マウスの累積生存率は処置後72日目において(1)80.0%、(2)52.6%と有意に(p<0.05)改善がみられた。一方、不完全な摘除群では、HCFU投与による再発抑制効果は特に認められなかった。 実験2 OVA-2株を移植と同時に(3)HCFU 100mg/kg/dayの投与を開始し60日間経口投与した群、(4)対照群として0.3%メチルセルロース0.1ml/マウス/dayのみ投与した群を比較した。その結果、HCFU投与により腫瘍増殖が明らかに抑制され60日目における担癌マスス生存率は(3)87.5%、(4)40.0%ち有意に(p<0.001)改善がみられた。このHCFUの抗腫瘍作用は、組織学的に細胞の壊死、強い間質反応等の所見として確認された。実験1,2より卵巣癌手術後に5FU製剤を用いての維持化学療法は再発防止においてその意義が明示された。
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1987-07-01
著者
-
本郷 二郎
大阪府立成人病センター婦人科
-
広田 義和
大阪府立成人病センター婦人科
-
稲垣 実
大阪府立成人病センター婦人科
-
澤田 益臣
大阪府立成人病センター
-
尾崎 公巳
大阪府立成人病センター婦人科
-
澤田 益臣
大阪大
-
沢田 益臣
大阪大学微生物病研究所
-
尾崎 公巳
大阪府立成人病センター
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