培養人絨毛癌細胞の核機能とMTXの障害効果

概要

論文の詳細を見る
絨毛癌の化学療法においてMethotrexate(MTX)は悪性Trophoblast(Tr.)の残滅に卓越した効果をもたらす.しかし, これをhCGの消長によつてmonitorするとき, 細胞効果といわれる現象は, 果して殺細胞効果によるか, あるいは可逆的細胞障害効果をも含むか詳らかではない.そこで, 培養人繊毛癌細胞(BeWo cell line)へ治療時の血中濃度にあたる2種類(5×10^<-6>M/ml, 5×10^<-7>M/ml)のMTX培養液中で48時間培養し, Flow microfluorometry(FMF)によつてS期を中心に細胞周期を解析し, 同時に細胞内蛋白量の変動を測定し, つぎの成績をえた.1)絨毛癌細胞(BeWo)は, 分離培養後72時間を経過してから対数増殖を示したが, 対照群(n=7)のS期細胞(A.U.)は, 38%(中間値)から72時問後46%まで漸増し, 96時間後40%まで減少した.2)5×10^<-6>M/ml MTX投与群(n=9)では, 48時間後対照群にたいして75.2±7.9%(m±SD)までS期細胞の抑制がみられ, MTX除去後48時間観察しても抑制は持続した.3)5×10^<-7>M/ml MTX投与群(n=8)では, 48時間後のS期細胞抑制率は, 83.6±7.7%(m±SD)であり, MTX除去24時問後50%は, 対照群値まで回復した.4)FITC結合蛋白量を測定すると, 両群とも24時間後対照群値の2倍以上の増加をもたらした.さらに72時間後, S期細飽の抑制が持続している場合には, 蛋白蛍光量は増加し, 対照群値まで回復すると蛋白蛍光量も減少するという背反的な結果をえた.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1981-11-01

培養人絨毛癌細胞の核機能とMTXの障害効果

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク