子宮頚部良性〜軽度異形成病変におけるヒトパピローマウイルス感染の診断と経過観察成績
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概要
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Southern blot法により子宮頚部からHPV DNAが検出され, 組織学的に良性〜軽度異形成病変を認めた症例について, 子宮頚部HPV感染のスクリーニング法としての細胞診(koilocytosis), コルポスコピー診およびdot blot(ViraPap^<TM>, ViraType^<TM>)法の有用性, さらに, これら病変におけるHPV DNAの推移について検討した. 1)子宮頚部よりHPV DNAが検出されたもののうち, 細胞診(koilocytosis), コルポスコピー診, dot blot法により子宮頚部HPV感染を推定させる所見の出現状況は, それぞれ14/46 (30.4%), 30/46 (65.2%), 35/46 (76.1%)であった. 2)HPV 6, 11, 16, 18, 31, 33, 35型に属さない不明型ではdot blot法が陰性で細胞診(koilocytosis), コルポスコピー診でHPV感染が疑われたものが3/6 (50.0%)認められた. 3)子宮頚部にHPV DNAが検出された46例のコルポスコピー所見の内訳はHPV感染の定型像30例(warty atypia 5例, flat type 25例), 非定型像6例(flat typeのみ), 正常所見10例であった. 4)組織学的に1年間, 良性病変のままに推移した例ではHPV型別に関係なく3〜6カ月後にHPV DNAの陰性化を認めた. また初診時に, 軽度異形成であり, その後1年間不変であったhigh risk groupにおけるHPV DNAの推移は1年後に陰性化した2例と比較的持続して認められた2例とに区別された. 5)良性病変より早期に発癌した例(HPV31型)や軽度より中等度異形成に進行した例(HPV16型)ではHPV DNAが持続して検出された. 以上の成績から子宮頚部良性〜軽度異形成病変におけるHPV感染のスクリーニングにはdot blot法の有用性が示唆されるが不明型もあるため細胞診, コルポスコピー診を併用する必要性があると考えられる. またとくにhigh risk groupにおいてHPV DNAが持続して認められる例では宿主の反応効果に差異があるものの, 長期の経過観察が重要である.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1990-06-01
著者
-
宇津野 博
順天堂大学浦安病院産婦人科
-
鈴木 正明
順天堂大学病院産婦人科
-
古堅 善亮
順天堂大学産婦人科
-
高田 道夫
順天堂大
-
高田 道夫
順天堂大学附属順天堂浦安病院産婦人科
-
高田 道夫
順天堂大学
-
古堅 善亮
順天堂大学医学部産婦人科学
-
宇津野 博
順天堂大学医学部産婦人科学教室
-
古堅 善亮
順天堂大学医学部附属静岡病院産婦人科
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