ヒト卵巣癌由来培養細胞のCA125産生動態 : 特に細胞周期との関連性について
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概要
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卵巣癌におけるCA125の産生動態についてはいまだ十分に検討されていない. そこで今回ヒト卵巣癌由来培養細胞であるHTOA (漿液性嚢胞腺癌), RMUG-s (ムチン性嚢胞腺癌)におけるCA125の産生能と細胞周期との関連性について検討した. 1) HTOA, RMUG-s培養細胞のCA125濃度は培養開始3〜5日後の対数増殖期において, それぞれ50, 30U/ml/10^5cell/24hr前後を示したのに対して, 7〜9日後の定常期において, それぞれ75, 100U/ml/10^5cell/24hr前後と対数増殖期より高い産生能を示した. 2) FCMの解析よりHTOA, RMUG-sともに培養開始7日後においては3日後に比較してG_0/G_1期細胞の増加とS期細胞の減少が認められた. 3) 培養開始3日後におけるHTOA, RMUG-s細胞のDNAポリメラーゼα免疫染色の陽性頻度はそれぞれ, 31%, 39%であつた. 4) 単細胞当たりのEGF-R数はHTOAが1.85×10^4, RMUG-sが6.94×10^4であり, 解離定数はそれぞれ450pM, 340pMであつた. 5) CA125産生能はHTOA, RMUG-sともEGF 0.01, 0.1, 1.0nMの各濃度添加において差を認めなかつたが, NaBT 1.0, 3.0, 5.0mM添加において濃度依存性に上昇を認めた. 6) RMUG-s培養細胞のEGF(0.01nM)添加群ではコントロールに比較して対数増殖期, 定常期ともに細胞増殖の促進が認められたが, CA125産生能は有意な変化を示さなかつた. 一方, NaBT (1mM)添加群においてはコントロールに比較して細胞増殖の抑制が認められたが細胞当たりのCA125産生能は増加傾向を示した. 7) EGF (0.01nM)添加48時間後における細胞周期の変化はHTOA, RMUG-sともにコントロールに比較してS期細胞の約20%の増加が認められた. また, NaBT (1mM)添加48時間後における細胞周期の変化はEGF添加と逆にコントロールと比較してS期細胞の減少とG_0/G_1期細胞の増加が認められた. 以上のことより, ヒト卵巣癌培養細胞におけるCA125産生は細胞周期上G_0/G_1期細胞との関連性が強く認められるが, その他の種々の因子が存在する可能性も示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1992-06-01
著者
-
鈴木 正明
順天堂大学病院産婦人科
-
古堅 善亮
順天堂大学産婦人科
-
鈴木 正明
浦安市川市民病院産婦人科
-
高田 道夫
順天堂大
-
高田 道夫
順天堂大学附属順天堂浦安病院産婦人科
-
臼井 直行
順天堂大学医学部産婦人科学講座
-
高田 道夫
順天堂大学
-
古堅 善亮
沖縄県立南部医療センター・こども医療センター
-
馬 軍
順天堂大学医学部産婦人科学教室
-
古堅 善亮
順天堂大学医学部産婦人科学
-
臼井 直行
順天堂伊豆長岡病院 産婦人科
-
古堅 善亮
順天堂大学医学部附属静岡病院産婦人科
-
臼井 直行
順天堂大学医学部産婦人科学教室
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