婦人科領域悪性腫瘍におけるEpidermal Growth Factor Receptor (EGF-R)の免疫組織学的検討
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概要
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婦人科領域悪性腫瘍を中心としてEpidermal Growth Factor Receptor(EGF-R)の発現を免疫組織学的に検索し, さらに悪性卵巣腫瘍では予後との関連についても検討した. 1)子宮頚部におけるEGF-Rの発現状況をみると, 異形成を示さない良性病変では20.0%(4/20)であった. また異形成例では, 軽度異形成で62.5%(5/8), 中等度異形成81.8%(9/11), 高度異形成53.3%(8/15)であった. さらに上皮内癌では6.7%(7/15), 浸潤癌では22.2%(6/27)であり, 組織型別にみるとその発現率は角化型扁平上皮癌27.3%(3/11), 大細胞非角化型扁平上皮癌33.3%(3/9)で, 小細胞非角化型扁平上皮癌3例, 腺癌4例では発現例は認められなかった. EGF-Rの局在は, 良性病変では基底層の細胞膜にみられたが, 異形成以上の病変では上皮全層の細胞膜, さらに細胞質に認められ, 組織学的に正常と思われる部位の細胞膜にも認められることが多かった. 2)子宮体癌での発現率は14.3%(2/14)であり, 発現例はいずれも高分化型腺癌であった. なお今回の検討ではエストロゲンレセプターとの逆相関は認められなかった. 3)進行悪性卵巣腫瘍での発現率は31.4%(11/35)であり, 組織型との間には明らかな相関は認められなかった. また発現例のほうが非発現例よりも予後のよい傾向がみられた. 以上のことよりEGF-Rは子宮頚部異形成の進行過程に関係あると思われるものの, 浸潤癌になると, EGF-Rの発現頻度が低下することが明らかにされた. さらに悪性卵巣腫瘍においては, EGF-Rの発現状況が化学療法の奏効率に関連している傾向が認められた.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1991-04-01
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