エステラーゼの電気泳動分析によつ推定されたニラのアポミクシス率
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概要
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アポミクシス(無融合種子形成)はヘテロシスの固定を可能にするという点で育種学的に興味深い現象であるが,その遺伝様式の解明のためにはアポミクシス率の検定方法を確立しておく必要がある.アポミクシス率は次代集団に占めるアポミクシス由来個体の割合として定義され,次代検定によって求められる.従来,次代個体の由来は外部形態の観察に基づいて推定されることが多かった.しかしアポミクトにおいては遺伝様式の明らかな標識形質がほとんどなく,従って外部形態による方法ではできるだけ多くの形質を観察する必要があつ,またそのために次代集団を長期間栽培しなければならない.これに代わる方法として本研究では同位酵素の等電点電気泳動像を利崩し,ニラのアポミクシス率を次代幼苗期に検定することを試みた.酵素種としては,バンド数が多く品種間差異の認められたエステラーゼを選んだ(図1).等電点電気泳動は以下に述べる方法により行なった.十分に展開した葉の一部を生重10mg当り100μlの50mMトリスー塩酸緩衝液(pH7.5)中で腐砕し,10,000gで15分問遠心分離した後その上清15μlをサンプルとして用いた.泳動担体には5%アクリルアミド,0.15%N,N'-メチレンビスアクリルアミド,17%グリセリン,0.04%過硫酸アンモニウム,及び両性電解質として「LKB Ampholine,pH5-8」を6%含む240×115×0.5mmのポリアクリルアミトゲルを用いた.泳動終了後,TANKSLEY and RICK(1980)の方法に従ってエステラーゼ活性染色を行なった.品種間のエステラーゼザイモグラムの差異及び開花期の一致を考慮して,6品種(表1)の問で適当な組合せを10通り選び,交配を行なって採種し,播種後2-4ヵ月の幼苗について検定を行なった.いずれの組合わせにおいても次代幼苗の90%以上が母親型のザイモグラムを示した.即ち,アポミクシス率はいずれの品種についても90%以上と推定された.(表3,図2,3).
- 日本育種学会の論文
- 1991-03-01
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