画像解析を利用した稲品種草型の解析

概要

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受光効率と深く関連する作物個体の案配置や葉角度,すなわち草型を数値的にとらえることは,生産性を評価する上で重要である.本研究では,稲4品種,コシヒカリ・ササニシキ・アキヒカリ・密陽23号のポット植え個体を供試し(Fig.1),最高分げつ期から出穂後12日までの植物体の側面の写真を画像解析し,非破壊で葉密度,葉角度分布を計測する技術を検討した. 植物体の側面写真から,小区画ごとの葉密度(葉+茎+穂の密度)をもとに葉密度等高線をコンピュータ画面上に描くことにより,品種間の違いを視覚的に明らかにした.節間伸長初期では密度分布の品種間差は小さかったが,節間伸長が進むにつれ,差異が大きくなった.出穂期になると,コシヒカリでは草丈が高く,中部の高さの葉が大きく側面に突き出る植物形となり,ササニッキ,アキヒカリの順に,草丈が低く,突出の程度も小さくなった.密陽23号は,どの高さでもほぼ等しい幅の長方形型の植物形であった.出穂12日後では,アキヒカリ,密陽23号では変化が小さかったが,コシヒカリでは出穂にともない,中部から上部にかけて大きくせり出した形となった(Fig2). 次に,植物形の外側への突出程度と凹凸の程度を数値によって表すために,各品種の植物体の中心軸と5%等高線間の幅の平均値と分散を要因として,比較を行った.密陽23号,アキヒカリでは,余り幅広でなく比較的長方形型であるのに対し,コシヒカリでは,平均幅が大きく,出穂期では一部が大きく突出し,出穂後は凹凸が小さくなるなど,画面上で視覚的に認められた特徴が数値的に確認された(Fig.3). さらに,葉の植物体中央への集中程度をとらえるため,等高線で描いた各個体の高密度(60〜100%)の部分の面積と低密度(5〜20%)の部分の面積の全面積(5〜100%)に対する割合を比較したところ,特に出穂期において,コシヒカリは分散的であり,逆に密陽23号は集中的であるという特徴が認められた(Fig4).
日本育種学会の論文
1988-12-01

画像解析を利用した稲品種草型の解析

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