日本のダイコン品種のS遺伝子とS糖タンパク質の分析
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概要
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アブラナ科自家不和合性植物のS遺伝子同定にS糖タンパク質分析を適用する際の問題点を検討するため,日本のダイコン一代雑種品種29品種について,S遺伝子とS糖タンパク質を分析した。29品種それぞれから任意に1個体をとり自殖し,その後代の自家不和合性の分離を調べたところ,20品種については明瞭た分離が認められ,胞子体的に働く1対のS遺伝子をそれぞれ仮定して説明できた。残りの9品種のうち,7品種は分離を示さず,2品種は複雑な分離を示した。分析できた20品種から33のS遺伝子ホモ系統をつくり,二面交配によってS遺伝子間の異同を調べた。本報告で取り扱った33のS遺伝子は20の異ったS遺伝子に分類された。すなわち19のS遺伝子は6つのS遺伝子に帰すことができ,残りの14のS遺伝子はそれぞれが異っていた。分析できた20品種,40遺伝子のうち,11についてS糖タンパク質が見いだされた。11のS遺伝子はS糖タンパク質の等電点によって5つのグループに分けられた。それは,二面交配から推定したS遺伝子の異同性と例外なく一致した。なお,アクリルアミド薄層ゲル等電点焦点法を用い,pIマーカーを同時に泳動することによって,それぞれのS糖タンパク質の等電点を再現性よく記載できることがわかった。S遺伝子をS糖タンパク質分析によって調査する方法は,S糖タンパク質が検出されたS遺伝子については有効であったが,ダイコンではS糖タンパク質の見いだされないS遺伝子も多く,S糖タンパク質の検出方法などについて更に検討を重ねる必要があると思われた。
- 日本育種学会の論文
- 1984-06-01
著者
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