画像解析による新・旧日本水稲品種の草型の比較
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概要
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コンピュータ画像解析を用いて, 新・旧水稲品種の草型, すなわち葉配置及び葉角度の推定と比較ができるかどうかを検討した。現在の水稲8品種と旧い7品種を水田に生育させ, 出穂期と出穂3週間後に, 周辺個体を刈り取った孤立植物体の側画写真を撮影し, それを画像解析して, 二次元の植物体密度(葉+茎+穂の単位面積当りの密度)分布, 葉角度(葉の先端の角度)分布を求めた. 各品種はそれぞれ特徴的な植物形を示し, 横への突出の仕方によりいくつかのグループに分けられた. 更にこれらの特徴を表す数値要因を算出し, 新・旧品種で比較した. 第一に, 植物体の全体的な横への張り出し程度と高さによる凹凸程度を表す指標として, 植物体中心軸と5%密度等高線の間の距離の平均と分散を求めた. 両時期ともに, 新品種と比べ旧品種は横への張り出し程度が大きく, また凹凸程度も大きかった. 第二に, 植物体の集中程度を表す指標として, 植物体密度分布における高密度部分と低密度部分の面積割合を求めた. 新品種が集中的, 旧品種が分散的であり, 出穂後にこの差異がより明確になった. 第三に, 植物体中部・上部の平均葉角度を比較したところ, 旧品種の上部の葉は出穂後に著しく傾くことが認められた. 新品種であるコシヒカリは大部分の要因で旧品種に近い値をとった. 本実験により, 従来認められていた新品種と旧品種の草型の差異が数値的に確認されただけでなく, 更に植物体の形などの特徴が明瞭に表示できることがわかり, 本PPP法(Plant-Profile-Processing法)は水稲の葉群配置の評価に使える可能性があると考えた.
- 日本作物学会の論文
- 1989-06-05
著者
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