セイヨウナシ果実の液胞膜水チャンネル cDNA の単離とその発現

概要

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セイヨウナシ果実から液胞膜の水チャンネルをコードするcDNAを単離した.そのクローンの推定アミノ酸配列は, シロイヌナズナのγTIP, δTIPおよびαTIPとそれぞれ77%, 52%および50%の同一性をし示し, そのクローンがγTIP型の液胞膜水チャンネルに属するものと考えられ, Py-γTIPと名付けた.また, Py-γTIPの推定アミノ酸配列には, 水チャンネルに特徴的な6回の膜貫通領域と2カ所のNPAモチーフが存在した.ダイコンの液胞膜水チャンネルであるVM23に対する抗体は, セイヨウナシ果実から単離した液胞膜タンパク質の二次元電気泳動上に, pI4.8のメジャーなスポットとpI5.2のマイナーなスポットを検出した.Py-γTIPの翻訳産物の推定pIが4.86であることから, メジャーなスポットの方がPy-γTIPの翻訳産物だと予想され, Py-γTIPが果実中で優位に機能している可能性が示唆された.果実の生長過程におけるノーザン解析の結果は, Py-γTIPの発現が果実の細胞分裂期の中・後期(開花後23日目と41日目)に特に高いことを示した.この結果から, Py-γTIPは液胞の形成過程やその後の液胞の急速な肥大生長に備えて, 細胞分裂期に多く発現している可能性が示唆された.
園芸学会の論文
2001-05-15