赤さび病感受性を指標とした四倍性コムギの起原と分化に関する研究 : I. メソポタミアで採集したコムギ赤さび病菌の病原性
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概要
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野生四倍性コムギの起原と種の分化を宿主寄生者相互作用に基づいて考察することを試み,著者の一人田中正武は京都大学メソポタミア北部高地植物調査隊(BEM,1970)の学術探険において野生四倍種の自生地でさび病菌の探索を行い,イラクのスライマニア(Sulaymaniya)地方で栽培コムギ T.durum Desf. の赤さび病自然感染葉を発見・採集した。著者らはこれらの感染葉から1菌糸の分離・培養に成功した。この菌糸は,コムギ属以外のどの植物に対しても病原性を示さなかったので赤さび病菌のうちコムギのみを宿主とする分化型と思われる。また,CHESTERの標準判別品種に対する接種検定の結果,レース群1(RG1)に属すると決定された。コムギ属植物に対する病原性は,1)二粒系及び普通系以外のコムギに対し病原性を示さない,2)二粒系コムギに対しては特異な病原性を有することが明らかにされた。これらの事実から,この菌糸はレース群1に属しながら他の菌系とは非常に異なった病原性を有すると思われるので採集地の名を冠してMesopotamia raceと名付けた。
- 日本育種学会の論文
- 1982-12-01
著者
-
石田 紀郎
京大
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石田 紀郎
京都大学農学部
-
田中 正武
京都大学農学部生殖質研
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田中 正武
京都大学農学部(現)横浜市立大学木原生物学研究所
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斉藤 初雄
農林水産省中国農業試験場
-
斉藤 初雄
京都大学農学部:(現)愛知県農業総合試験場山間技術実験農場
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