Capsicum annuum と C.baccatum の種間雑種の細胞遺伝学的研究
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概要
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トウガラシ(Capsicum 属, 2n=24)は,新世界に起原した植物で,4種の栽培種を含み,かつその各々に近縁野生種が存在することが知られている。トウガラシの種内,種間の類縁関係及び起原に関しては,交雑可能度,比較形態学,雑種の花粉稔性,核型分析,電気泳動によるアイソザイム分析等の観点から多くの研究者により論じられてきた.しかし,雑種の減数分裂における染色体の行動は,殆んど報告されておらず,トウガラシ各種の種内及び種間のゲノムの相互関係を明らかにするには,この方面の研究からのデータは非常に不足している. 本研究では,C.annuumとC.baccatumのゲノムの類縁関係を調べるために,種間雑種の花粉母細胞の減数分裂第一中期における染色体対合を観察した(Fig.1〜3)・その結果,9II+1VI,8II+2IV及び7II+1IV+1VIの対合が細胞学的に調査した花粉母細胞のそれぞれ34.0%,13.1%及び15.1%に見い出された(Table 1).染色体対合の平均頻度は,0.02I+8・93II+0・08III十0.72IV+0.02V+0.49VIであった(Table 2).C.annuumとC.baccatumは,3つの相互転座により異なることが証明された・また,1価染色体の出現頻度は,平均で細胞当り0.02と極めて低く,C.annuumとC.baccatumのもつゲノムは,基本的には相同であると結論された.
- 日本育種学会の論文
- 1986-03-01
著者
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江川 宜伸
生物研
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江川 宜伸
農林水産省農業生物資源研究所
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田中 正武
横浜市立大学木原生物学研究所
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田中 正武
京都大学農学部(現)横浜市立大学木原生物学研究所
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江川 宜伸
農林水産省国際農林水産業研究センター沖縄支所
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