世界各地から集めたトウモロコシ在来品種の農業生態的諸特性について : .ペルーおよびボリビア在来品種
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概要
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PeruおよびBolivia産在来トウモロコシ92品種を大阪府立大学農学部圃場(34°35'N.,135°30'E.)で栽培し,それらが示す各種特性についてしらべた。一般に成熟に要する期間は長く,原産地が低緯度にあるものほど,また低地産のものほど遅く雄穂抽出および絹糸(雌蕊)抽出しやすいが,高地の品種では成熟までの期問がかえって短かくなるものもある。一般に雄穂の開花から絹糸抽出までが長く,特に高地品種では自殖の困難たものがあった。成熟までに期問を要するものでは桿の節数が増え,草丈が伸びる。最長葉の着く節位と雌穂の着く節位は,傾向としては,原産地の高度に関係があり,各品種は次の2群に大別できた。(1)低地(<1,000m)に由来する品種1高い節位に最長葉が着き更に高い節位に雌穂が着く。(2)高地(>1,000m)に由来する品種:(1)の場合より低い節位に最長葉が着き雌穂もその付近の節位に着く。全体として長桿が多く,子実生産のためには効率が悪いと思われる特徴をもち,雌穂・雄穂共に高所に位置するため人為交配には脚立を要する品種が多い。風が吹くと桿は折れやすく,アワノメイガ(Ostrinia furnacalis Guenee)に食害された桿はわずかの風でも折れる。大阪では子実の充実しにくい品種が多い。中米その他の品種にくらべて分藁数少なく,植物体とくに葉鞘にアントチアンの発色のある品種が多く,高地のものほど色調の濃厚たものが目立った。一般に大阪府における夏の高温によって生長の遅延がおこりやすく,ウイルス病にもかかりやすく,発育途中で座止する個体が比較的多数現われた。アワノメイガ,ハスモンヨトウ(Spodoptera litura Fabricius)およびアワヨトウ(Pseudaletia separata Walker)に対する抵抗性は一般に非常に低い。
- 日本育種学会の論文
- 1980-03-01
著者
-
田中 正武
京都大学農学部生殖質研
-
田中 正武
京都大学農学部(現)横浜市立大学木原生物学研究所
-
土屋 隆生
広島県立農業技術センター
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土屋 隆生
広島県立農業試験場
-
衣川 堅二郎
大阪府立大学農学部
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