抗悪性腫瘍薬 VP 16-213 の生殖に及ぼす影響 (第2報) : ラットにおける器官形成期経口投与試験
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概要
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抗悪性腫瘍薬 VP 16-213 (VP) を1, 3及び 10 mg/kg/日の割合で妊娠 Crj:CD (SD) ラットに, 妊娠7日目より17日目までの11日間反復経口投与し, 概略次の結果を得た。1. VP 10 mg/kg の投与により, 母獣(F_0)の体重増加は妊娠12から20日目まで抑制された。2. VP 10 mg/kg群で胎仔 (F_1) の体重及び体長は低値であり, 発育は抑制された。更に, 同群で第5・6胸骨未骨化の発現率が高く胸骨及び胸椎に骨化遅延が認められ, 骨格奇形の発現率が上昇した。3. VP 10 mg/kg群で胎仔 (F_1) の無眼・小眼・側脳室拡張並びに新生仔 (F_1) の一側性無眼の発現率が高値であった。4. 育成仔 (F_1) の分化の状況については, VP 10 mg/kg群で眼瞼開裂及び精巣下降に至る日数が延長した。しかし, 学習能力, 運動機能や運動性及び情動性に及ぼす VP の影響はみられなかった。5. 雌堆 F_1 ラットの生殖器の発育は VP 10 mg/kg群で抑制されたが, 成熟 F_1 ラットの生殖能及び妊娠期間に及ぼす VP の影響はみられなかった。6. F_1 ラットより得られた新生仔 (F_2) の着床痕数, 出生率及び平均生存仔数は VP 10 mg/kg群で低下したが, これは特定の同腹仔に偏った着床痕数及び産仔数の減少によるものであった。以上のように, ラットの器官形成期に投与された VP 10 mg/kgは, 母獣の体重増加を抑制し, 胎仔 (F_1) に対しては眼及び脳の異常, 骨化遅延を伴う発育抑制, また F_1 ラットに対しては眼瞼開裂及び精巣下降に至る日数の延長, 雌雄生殖器の発育抑制を誘起したが, F_1 ラットの生殖能には影響を及ぼさなかった。一方, 3 mg/kg以下の投与量では親動物, 胎仔及び F_1 ラットとも影響を受けないことが示唆されたため, 本試験における親動物及び次世代 (F_1) に対する VP の無影響量は 3 mg/kg/日と考えられた。
- 日本トキシコロジー学会の論文
- 1986-04-25
著者
-
甲斐 修一
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 前臨床研究所 毒性病理研究室
-
河野 茂生
ブリストル・マイヤーズスクイブ(株)神奈川研究所
-
太田 恵子
ブリストル・マイヤーズ研究所株式会社・前臨床研究所
-
門田 利人
ブリストル・マイヤーズ研究所株式会社 前臨床研究所
-
黒柳 幸司
ブリストル・マイヤーズ研究所株式会社 前臨床研究所
-
太田 敏
ブリストル・マイヤーズ研究所株式会社 前臨床研究所
-
石川 克己
ブリストル・マイヤーズ研究所株式会社 前臨床研究所
-
河村 寿
ブリストル・マイヤーズ研究所株式会社 前臨床研究所
-
高橋 紀光
ブリストル・マイヤーズ研究所株式会社 前臨床研究所
-
浜島 義規
ブリストル・マイヤーズ研究所株式会社・前臨床研究所
-
石川 克己
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 前臨床研究所 毒性病理研究室
-
河村 寿
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 前臨床研究所 毒性病理研究室
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高橋 紀光
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 前臨床研究所 毒性病理研究室
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黒柳 幸司
ブリストル・マイヤーズ スクイブ株式会社 前臨床研究所 毒性病理研究室
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