サツマイモ品種の塊根品質からみた成熟期
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概要
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サツマイモの主な食用8品種を2年間供試し,生育に伴う塊根の収量及び品質成分の変化を調査して品種間差異を明らかにするとともに,乾物率からみた成熟期の推定を試みた.ヘルシーレッド,コガネセンガン,沖縄100号,ベニアズマは塊根の早期肥大性を示した.ベニコマチ,紅赤は乾物率の増加が早く,植え付け後70日頃で30%を超えた.生塊根の糖度は生育初期にベニコマチが最も高かった.蒸し塊根の糖度は生育初期にベニコマチが高く,90〜95日以降はベニアズマ,コガネセンガン,ベニコマチが高かった.分散分析の結果,塊根収量,塊根1個重,乾物率,生塊根の糖度,生塊根のショ糖含量,生塊根のブドウ糖含量,蒸し塊根の精度,食味について品種間と生育日数間で有意な差がみられ,蒸し塊根の糖度を除く7形質で交互作用が認められた.多くの掘り取り日で乾物率は食味との間に0.8以上の正の有意な相関を示し,蒸し塊根の糖度も食味との間に正の有意な相関を示した.生塊根の糖度及びショ糖含量と食味との間には一部の掘り取り日で正の有意な相関がみられたが,塊根収量,塊根1個重及びブドウ糖含量と食味との間には全生育期間で正の有意な相関はみられなかった.品質からみた成熟期を示す指標として乾物率の変化から成熟期を推定した結果,ヘルシーレッド,フサベニ及びベニコマチが早生,紅赤,沖縄100号及び高系14号が中生,ベニアズマとコガネセンガンが晩生であると分類できた.
- 日本作物学会の論文
- 1999-06-05
著者
-
田宮 誠司
北海道農業研究センター
-
片山 健二
農業・生物系特定産業技術研究機構九州沖縄農業研究センター
-
田宮 誠司
農業研究センター
-
Katayama Kenji
National Agriculture Research Center
-
片山 健二
農業研究センター
-
田宮 誠司
長崎県総合農林試験場
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