灌漑水へ施用されたダイアジノンのイネ体内への移行
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概要
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1. 32P標識ダイアジノンを含むダイアジノン粒剤を調製し,イネを栽培したコンクリート框水田およびポットに水面施用あるいは土中施用して,標識化合物の灌漑水中への溶出や,イネ体への移行を追跡した。2. 水面施用区では,灌漑水中への放射活性の溶出は急速に進行し,水中濃度は施用後2∼4日で最高となり,以後低下する。一方水中での加水分解も直線的に進行し,灌漑水中の殺虫性成分濃度は施用後3日目にピークを示す。なお土中施用した場合には,放射活性は灌漑水中にはほとんど認められない。3. 水面施用した場合,灌漑水中に溶出した放射性物質は葉鞘部から吸収され,一部は徐々に根部や葉身部へも移行するが,多くは葉鞘部に残る。4. 土中施用区では,放射性物質の吸収は根部でおこなわれる。吸収された放射性物質はすみやかに葉身部へ移行蓄積し,葉鞘部への分布量はあまり多くない。5. イネ体内の放射性物質のうち,殺虫性成分の占める割合は経時的に急速に低下する。その速度は葉鞘部でよりも葉身部ではるかに大きく,葉身部に分布する放射性物質の大部分は殺虫力をもたない分解生成物である。一方葉鞘部では,施用後5日間ぐらいは,全放射活性にたいする殺虫性成分放射活性の比率がかなり高い。6. これらの理由から,ニカメイガ幼虫の加害対象である葉鞘部の殺虫性成分濃度は,土中施用区にくらべて水面施用区ではるかに高い。ダイアジノン粒剤の水面施用により,約1週間にわたり,ニカメイガ幼虫にたいする高い殺虫効果が期待される。なお,効果を大きくするために,施用後数日間は灌漑水の出入を止めることが望ましい。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1969-12-25
著者
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