寄主の栄養条件とトウモロコシアブラムシの増殖
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
トウモロコシアブラムシはオオムギ, トウモロコシなどイネ科植物の害虫として知られているが, コムギにはほとんど寄主しない。栄養条件の異なる3区のコムギおよびオオムギ苗(無窒素砂耕区, 高窒素砂耕区, 施肥土壤区)における個体群増殖, 生存日数および産仔数を調査した。1.どのような栄養条件下でも, オオムギ区のアブラムシはコムギ区のアブラムシにくらべて速かに個体群を増し, 生存日数は長く, また産仔数も多かった。2.オオムギ区の間では, 無窒素区での個体群増殖が高窒素区や施肥土壤区にくらべてやや劣っているが, 生存日数や全産仔数は寄主の栄養状態によってほとんど影響をうけていない。3.コムギ区の間では, 無窒素区ではゆっくりと個体群を増加したが, 高窒素区や施肥土壤区ではほとんど増加せず大部分は絶滅した。またリーフ・ケージで生存日数や産仔数をしらべたところ, 無窒素区が最も高く, 以下高窒素区, 施肥土壤区の順であった。4.以上の結果を総合すると, トウモロコシアブラムシの寄主としての好適性は次の順となる : 施肥土壤区オオムギ=高窒素区オオムギ≥無窒素区オオムギ>無窒素区コムギ>高窒素区コムギ>施肥土壤区コムギ。5.コムギ苗の寄主としての好適性は苗体中の糖分と正の相関をもち, 窒素含量と負の相関をもつようである.6.コムギ苗はトウモロコシアブラムシに対して抗生的に作用する物質を含有している可能性が示唆される。その物質の合成能あるいは活性は, 窒素欠乏条件下では抑制されるのではないであろうか。
- 日本応用動物昆虫学会の論文
- 1963-06-15
著者
関連論文
- 周期ゼミ研究の最近の活発化--最新の研究紹介と望まれる今後の研究課題いくつか
- 植物における性淘汰と「精子競争」--面白く動物では困難な実験も可能,研究の発展に期待
- 今西錦司:人文・社会系の彼をほめる人たちは彼の良かったところでなく,悪かったところをほめている (特集:今西錦司の遺産--清算の試み)
- C101 愛知県日進市周辺でのツマグロヒョウモンの個体群動態 : 定着・増加のややあとと現在との比較
- 名古屋市周辺で普通種となったツマグロヒョウモンの生態
- クリタマバチの個体群動態に関する研究 : 第3報 5年間にわたる個体群変動の分析
- マーキング法とすくい取り法によるツマグロヨコバイ個体数の推定
- クリタマバチの個体群動態に関する研究 : 第1報 調査区の記載およびクリタマバチとその寄生バチの生活史
- 不妊虫放飼法による琉球列島からのウリミバエの根絶 : なにが成功の理由か
- F108 冬・夏期におけるシロスジオサゾウムシの個体数推定と活動性(生態学)
- ニカメイガ幼虫の生育に及ぼす飼料中の蛋白質ならびに炭水化物含量の影響
- HAMILTON博士を悼む (博物館の21世紀--ナチュラルヒストリーの未来 自然史学会連合・日本学術会議50周年記念・合同シンポジウム)
- ハイブリッド自動車の制振制御
- 陸稲ネアブラムシの生態 : 特にアリとの関係について
- 沖縄やんばるの天然林の種多様度とそれへの「天然林改良事業」の影響
- やんばるの生物群集における種の多様性とそれに対する森林下刈りの影響沖縄生物学会第34回大会講演要旨
- やんばるの森林の生物種多様度とそれへの下生え刈り取りの影響II.ササラダニと木本植物・付着植物・総括生物学会第33回大会講演要旨
- A202 オキナワチビアシナガバチの個体群生態学. : 1.生存率と個体数変動 : 社会性との関係(生態学)
- 今西錦司の反科学論:自然科学の外で今も続く悪影響--恩を受けていながら敢えて言う (特集 今西錦司--その思想と学問への志向)
- 真社会性昆虫とくにアシナガバチ亜科における多女王制をめぐる諸問題
- 21世紀の科学:信頼と恐怖--50年の経験といま考えること (特集 あなたが考える科学とは)
- 沖縄本島中・北部の森林からみた沖縄県のアリ類
- 沖縄やんばるの森林におけるマクロ土壌動物の個体数と多様性 : 森林下生えの刈り取りとも関連して(宇井純教授 大嶺哲雄教授退官記念論文集)
- 沖縄やんばるの森の生物多様性--森林下生え刈り取りの悪影響
- エコツ-リズムへの期待と心配--観察方法・人数規制の検討会議が必要
- やんばるの森林の生物種多様度調査シリーズ(III)琉球列島の多足類と国頭調査区との密度対比生物学会第33回大会講演要旨
- やんばるの森と世界遺産 : 世界遺産熱帯林会議に出席して
- D101 対称性のゆらぎと累代増殖虫の質査定 : アリモドキゾウムシの予備研究(害虫管理・総合防除)
- 島は進化の野外実験室か, それとも絶滅の?生態学者が山原の自然保護を訴える理由 シンポジウム講演要旨
- 種の多様性比較のための指数の問題点--不適当な指数の使用例も多い (特集 生物多様性をめぐって)
- D110 種多様度の比較のための指数の問題点と推薦できる指数の提案(生態学)
- 生育段階を異にするコムギ幼植物にたいするトウモロコシアブラムシの反応
- 寄主の栄養条件とトウモロコシアブラムシの増殖
- 『進化』シムポジュームの感想
- ニカメイガ幼虫の生育に及ぼす飼料中のタンパク質ならびに炭水化物含量の影響(続報)
- モンシロチョウの卵・幼虫個体群における空間的分布の変化とその原因 : ほ場におけるこん虫の行動と死亡率 その5
- モンシロチョウ個体群の自然死亡率および死亡原因について
- 故湯嶋健氏を偲ぶ
- 灌漑水へ施用されたダイアジノンのイネ体内への移行
- ヨトウガ幼虫の食物利用性, 特に窒素の利用について
- カイコの翅の発達に及ぼすApholateの影響
- 栽培時期の異なるイネにおけるニカメイガ幼虫の生育
- ニカメイガ幼虫はフアルネゾールからコレステロールを生合成できない
- 「日本の科学者」200〜300号歴代編集委員長おおいに語る (〔日本の科学者〕300号記念座談会)
- H316 沖縄の森林の木と昆虫の種の多様度 : 等比級数則および対数級数則による検討(生態学)
- F201 セミョーノフヤドリアシナガバチと寄主ヨーロッパフタモンアシナガバチの行動観察(動物行動学・行動生態学)
- 病原体進化論 : 人間はコントロール出来るか, ポール・W・イーワルド著, 池本孝哉・高井憲治訳, (2002), 新曜社, 東京, 352+116pp., 4,500円(税別)
- H302 名古屋市近郊で普通種となったツマグロヒョウモンの生態(予報)(生態学)
- 昆虫多様性の測定と解析法--沖縄・やんばるの昆虫・ダニを材料として (特集 昆虫の多様性とインベントリー)
- D217 サトウキビ畑で大発生したイワサキクサゼミのその後 : エスケープ仮説への傍証の追加(生態学)
- ニカメイガの発生に及ぼす土壌ケイ酸の影響
- 解説 自然保護・やんばるの危機 自然林に米軍ヘリパッド!?貴重種の絶滅加速の恐れ
- 水に溶けたγ-BHCの水稲茎葉への移行について
- ニカメイガ幼虫の成育に及ぼす水稲施肥の影響 : IV.カリウム施用量の多少と幼虫の成育
- ニカメイガ幼虫の生育に及ぼす水稲施肥の影響 : III.リン酸施用量の多少と幼虫の生育
- ニカメイガ幼虫の生育に及ぼす水稲への施肥の影響 : (第2報)窒素含量を異にして水耕栽培した水稲における幼虫の生育
- ニカメイガ幼虫の生育におよぼす水稲への施肥の影響 : I.土壌への窒素質肥料の施用量とニカメイガ幼虫の生育
- 沖縄本島北部「やんばるの森」の節足動物の多様性
- F304 沖縄のタケツノアブラムシ : 鹿児島と異なる季節消長と兵隊産出(生態学 行動学)
- 沖縄における種の多様性の保全とその戦略 (21世紀の沖縄を考える) -- (沖縄地域--地域特性と発展への考察)
- E.O.ウィルソン著 大貫昌子・牧野俊一共訳『生命の多様性(1・2)』
- A317 チビアシナガバチの巣内順位行動 : 解析法・繁殖との関係(社会性昆虫)