温州ミカンの品質に関する要因分析と品質保証

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先にカキ果実(富有)の品質保証について明らかにしたが,同一手法によって,今回温州ミカンをとりあげた。温州ミカンについての分析は過去にいくつも行われたが,買い手に対する品質保証の視点の欠けたものがほとんどである。本研究では抜取検査理論を導入して温州ミカンの糖度,酸度及び糖酸比について検討した。対象とした産地は愛知県下の産地である。要因分析結果を実用的視点から考察すると,ロットの形成は農家(1圃場)を単位とするのが適当と考えられた。農家を1ロットとした場合,一回抜取検査で抜取個数6個の糖度平均,pH値の平均あるいは糖酸比平均が,それぞれ11.40°,3.82(クエン酸含量0.605%相当),10.85以上をロット合格とすれば,確率90%以上で糖度10%,pH3.36(同1.10%)あるいは糖酸比10.0末満の果実(不良果)の混入割合が産地段階で0.1%以下であることを買い手に保証することができる。これはロットの平均値でいうと,糖度11.69°,pH3.91(同0.548%)あるいは糖酸比16.71以上であることを保証することになる。逐次抜取理論を適用した場合,抜取個数1個のとき,糖度12.56°Brix以上,2個のとき合計糖度24.00°Brix以上などと行うことによって,一回抜取検査の場合と同様の保証を検査費用を抑えて行うことができる。現行の産地農協の荷受検査方式は,1ロット1個の検査個数であることが多いが,これはたとえば危険率が30%以上にもなるなど,検査精度を極めて大きく犠牲にして検査費用を抑えたものであることがわかった。
岐阜大学の論文
1983-12-15

温州ミカンの品質に関する要因分析と品質保証

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