入院精神分裂病患者の生活満足度 -作業療法的視点からの考察-
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概要
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Bakerらの尺度を用いて入院中の女性精神分裂病患者44名を対象に生活満足度の調査を行った.その結果,最も高い陽性反応(満足傾向)を示したのは「食事」で,最も高い陰性反応(不満足傾向)を示していたのは「健康」であった.そして,延べ入院生活が長い患者ほど一日の生活に満足し,楽しいと感じていた.この所見は退院意欲が乏しくなってきている可能性があることを示唆している.また,対人関係技能が低い患者ほど一日の生活に不満足だった.入院生活における病室内人員構成や所属病棟などに対する配慮が重要であることが示唆された.さらに,障害に対する理解度が高い患者ほど自己の健康に満足しており,病識に対する客観的評価と主観的評価が合致していることを支持する結果を得た.Life satisfaction was investigated with 44 female schizophrenic inpatients using the assessment schedule by Baker et al. The most positive response was shown on 'meals' and the most negative response was on 'health'. The longer the period of hospitalization was, the more patients felt content in their daily life. This suggests that they tend to lose the desire to leave the hospital. Patients with poor interpersonal relationship skill tended to feel discontent with their daily life. It is suggested that it is important to consider the allocation of rooms and wards. Patients with higher insight to their own diseases tended to feel content with their health, which indicates the agreement of objective and subjective pathological evaluations.
- 長崎大学の論文
著者
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田中 悟郎
長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
-
太田 保之
自治医科大学 看護学部
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太田 保之
衛藤病院
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稲富 宏之
長崎大学医療技術短期大学部
-
田中 悟郎
長崎大学医学部保健学科
-
田中 悟郎
長崎大学 保健
-
福田 健一郎
真珠園療養所
-
福田 健一郎
医療法人栄寿会真珠園療養所
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稲富 宏之
長崎大学医学部保健学科
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