アリウムギガンチウムの大量増殖に関する研究 : 第2報葯培養による胚様体誘導と幼植物の再生

概要

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直径4∿5cmの花球(散形花序)の苞が裂け出した頃の小花蕾を葯培養の材料に用い,葯からの不定胚および幼植物の再生について試みた。1. 胚様体形成は,小胞子母細胞期から小胞子4分子期にわたる時期の葯で最も良好で,BA 0.1∿1mg/1およびNAA 10mg/1添加区で20∿23%の形成率を示した。小胞子1核期の葯においては,胚様体形成は殆ど認められなかった。胚様体は,明所条件下に移すことにより幼植物に成育した。2. 培地中の窒素源として,各種のアミノ酸を添加しその効果を検討したが,グリシン添加区で1個体の胚様体が得られたのみであった。3. 葯置床前に,花蕾の5℃における低温前処理を試みた。低温処理が1日では,胚様体形成は認められなかったが,5および10日では8.3および5.1%と低率ながら低温前処理の効果が認められた。4. 得られた胚様体の中で,5mm以下の胚様体を0.1mg/1 IBA添加培地へ移植した場合には正常な幼植物に成育したが,5mm以上では生長したシュートが肥大し,水浸状化する傾向を示した。5. 得られた幼植物は殆ど2倍体で,一部4倍体が認められた。これらの幼植物の起源は現在のところ不明である。
神戸大学の論文